桐野夏生,2013,だから荒野,毎日新聞出版.(12.6.24)
傲慢な夫や息子たちに軽んじられながら家庭を支えてきた主婦・森村朋美は46歳の誕生日、ついに反旗を翻す。衝動にかられ夫自慢の愛車で家出、日本列島を西へ。〈壊れかけた家族〉を桐野夏生が激しく愛おしく描く傑作長編小説!
中年既婚女性を主人公にしたロードノベル。
朋美が愛想を尽かした夫、浩光の、ミソジニー(女性蔑視)、卑小な小市民性が実によく描かれている。
一つの家族が解体し、家族の外部に、救いとなる人間関係が紡がれ、しかし、それさえはかなく消え去ってしまう無常感が読後に残る。