「社会福祉とメディア」を論じるには無理がある章も散見される。「ボランタリーアソシエーションと社会的ネットワーク」、「高齢者とマスメディア」、「マスメディアによる社会福祉への関心の喚起」、この三点に章を仕分けして構成していたら、もっと良い本になっていただろう。一言、三点目について、かつて社会福祉の現場を取材した優れた映像記録を多数制作していたNHKが、自らの社会的使命を投げ出し、視聴率が稼げるバラエティ番組ばかり放映するようになったのは、かえすがえすも残念である。わが国における社会福祉の後退については、NHKにも責任の一端がある。
目次
序章 高齢化社会のメディア・ネットワーク
第1章 市民大学がインタラクティブなメディアとなる
第2章 ボランティアはコミュニケーション・ケア
第3章 メディアと口コミがつくる福止ネットワーク
第4章 コミュニケーション空間に集う人々―高齢化社会とニューメディア
第5章 メディアとどう付き合うか―高齢者とメディア・リテラシー
第6章 マスメディアと福祉をどう結び付けるか―新聞・ラジオ・テレビ・雑誌
第7章 メディアの受け手が変わる―データで見る高齢者の生活
第8章 英国のメディア・プロジェクトの試み―先進的なメディア・ネットワークの果たした役割
付章 メディアの送り手はどう考えているのか―栃木県社会福祉協議会主催「報道関係懇談会」参加者からの調査を通じて
メディアは社会とつながりあう広場。ボランティア、老人大学からマスメディアまで、多様なコミュニケーションを双方向に使いこなすことで、隔絶されがちな高齢者を社会とのつながりのなかに取り込む、意欲的な試み。
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