ゲーム理論の一方での古典ともいえる本書は、絶版になることなく、長く読み継がれている。
日本でゲーム理論やってる人といえば、数学者のなりそこねか、極端に日本語表現力に乏しい者ばかり、というと怒られそうだが、「社会的ジレンマ」研究がゲーム理論のフォーマライゼーションを志向すればするほど、その内容は無味乾燥で糞の役にも立たないものに成り果てたのは当然とはいえ不毛というほかない。
本書がまだ面白いのは、ゲーム理論の実験的調査の知見をもとに、戦争や国際関係等を論じている点にある。
なんのための理論か、日本のダメな数理社会学者たちが忘却し続けてきた問いを、自らの研究に生かし続けてきたゆえの古典であるといえるだろう。
目次
第1部 序論
協調関係の諸問題
第2部 協調関係の出現
『しっぺ返し』の成功―コンピュータ選手権において
協調への道筋
第3部 親交も先行きの見通しもない協調関係
殺しも殺されもしない戦争―第一次世界大戦の塹壕戦において
生物における協調関係の進化
第4部 当事者と調停者へのアドバイス
効果的な選択とは
協調関係を育てるために
第5部 結論
協調関係と社会構造
互恵主義のたくましさ
日常の人間関係を捉えるユニークな視点。人間社会、あるいは生物界に見られる多くの「つきあい」には、いろいろな利害対立がある。本書は、その中で「協調か裏切りか」というジレンマ状況を、ゲーム理論をとり入れた進化生物学の視点から解き明かす。
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