猪木武徳編著,2014,<働く>は,これから──成熟社会の労働を考える,岩波書店.(11.5.24)
仕事の内容や就労の形態が多様化し、変容する中でわれわれはどこに労働の意味を見出そうとしているのか。高齢化と人口減少に直面する日本の労働環境の変化は、ライフコースにいかなる影響を及ぼすのか。労働の現況を改善するには、どんな考えが重要なのか。六名の研究者が、現地調査と統計データに基づき、成熟社会における労働のあり方を考える。
労働経済学、教育学、政治思想等のそうそうたるメンバーにより編まれた著作ではあるが、テーマが散逸的で、内容的にもショボい論考が多い。
清家篤は、第2章「地に足の着いた雇用改革を」で、新規学卒者一括採用、終身雇用、年功序列型賃金の日本型経営を擁護しているけれども、新規学卒者一括採用をやめたら若者の失業率がスペイン並みに上がる?
アホかいな。
なにを職務とするのかわからないまま「就社」する/させるメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用への転換の課題はどうなのよ?
致命的なのは、雇用におけるジェンダー不平等とその解決策について、まったく取り上げていないこと。
労働経済学の碩学がこの体たらくなのだから、日本の雇用政策のダメっぷりは推して知るべし。
目次
第1章 成熟社会で“働く”こと
第2章 地に足の着いた雇用改革を
第3章 多様化するライフコースとその課題
第4章 日本人は、なぜ六五歳を超えても就労意欲が高いのか?
第5章 “地域”において“働く”こと
第6章 中間的な組織での自由な労働