アナベル・ウィリアムズ(田中恵理香訳),2024,女性はなぜ男性より貧しいのか?,晶文社.(10.31.24)
現在のペースだと男女間の賃金格差を解消するためには257年かかる――。
257年待っていられないすべての人へ。お金×ジェンダーの必読書。
もし、自分が一生、男性よりも収入が少ないと知っていたら?
今日、女性であることはそうなる可能性が高いことを意味し、男女の間にはいまだに大きな格差が存在している。
「女性の賃金を低くするのは違法だから賃金差別は存在しない」「賃金格差は教育で解決できる」などの通説を覆しながら、格差が生まれる根本と平等に向けた具体策に迫る。
賃金や年金のジェンダー不平等は解消されなければならないというのは、よほどのセクシストでなければ同意するところだろうが、現に不平等の構造があるなかで、生活困窮に陥らないためにはどうすればよいのか、実践的なアドバイスが随所でなされている。
ウィリアムズが強く推奨するのが、若いときから年金原資を貯めていくことだ。
日本の年金制度で言えば、厚生年金と企業年金、個人年金の累積保険料がその原資に当たる。
また、ウィリアムズは、インフレのリスクに対処するために、株式等への投資を併せて推奨する。
ジェンダー不平等を批判しながら、どう生き延びていくか、具体的な指針を提示するリアリズムは、評価に値する。
若い女性に読んでほしい一冊だ。
目次
私たちのいまの状況
これまでの道のり
お金に関する思い込み
老後貧困という重大問題
男性が主流の経済学
政府がジェンダーを考慮しない
日々の生活費が少しずつ高い
「女性の問題」
ジェンダーに基づく住宅危機
ただ働きのケアワーカー
リプロダクティブ・ライツ
賃金格差
美の基準と社会の期待
セルフケアとしてのお金
投資について語ろう