20世紀初め、イギリスの貧困問題を世界に知らしめた名著。
本書のなかで、チャールズ・ブースやシーボーム・ラウントリーの貧困調査への言及があるが、それらよりも、食いはぐれたアメリカ人水夫を装ってスラムに潜入して、これ以上ないというくらい悲惨な貧民のありようを描いた本書の方が鮮烈である。
本書をわが国で最初に訳したのが、伊藤野枝の伴侶であった辻潤。当時のアナーキズム、社会主義の運動への影響も大きかったにちがいない。
1902年夏、エドワード七世の戴冠式でにぎわうロンド
ンのイースト・エンドの貧民街に潜入したジャック・ロンドンが、「心と涙」で書き上げたルポルタージュ(1903)。救世軍の給食所での不衛生な食事、小さな靴工場の悲惨な労働環境―苛酷な世界に生きる人びとの姿が迫真の筆致で描かれる。著者撮影の写真数点を収録。
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