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ホームレスの街娼が産んだ子は、海外の里親に売られるか、そうでなければ、手足を切断されたり目を潰されたりして、女性の物乞いにレンタルされるか、男女ともに売春を強いられるか、自ら物乞いをさせられる。死後は、仲間に遺体を引きずり回され、灰になるまで物乞いの道具にされる。
インドのムンバイと近郊の町で取材を重ねて編まれた本書は、こうしたホームレスの人々の一大群像劇となっている。身分差別が著しく残存している南アジアでこうした「悲惨」が続いているのは、しかたないと思うべきなのか、あるいは、凄惨なまでの貧困問題を放置している現地政府を動かすべく経済制裁等の措置をとるべきか。わたしは、後者を支持するが、問題は、こうした「悲惨」を世界中のメディアが報じないことだ。見たくない現実を隠蔽し続けるのは、日本のメディアだけの問題ではない。
目次
第1部 傷つけられし子の群れ
第2部 幼き者たちの黒い城
第3部 街の夜明けと離散
二〇〇二年、冬。インドの巨大都市ムンバイ。路上にたむろする女乞食は一様に乳飲み子を抱えていた。だが、赤ん坊はマフィアからの「レンタルチャイルド」であり、一層の憐憫を誘うため手足を切断されていたのだ。時を経て成長した幼子らは“路上の悪魔”へと変貌を遂げる―。三度の渡印で見えた貧困の真実と、運命に翻弄されながらも必死に生きる人間の姿を描く衝撃作。
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