カナダやオーストラリアにおけるソーシャルワークのテキストには、indigenous social workなる用語がけっこう使われているが、これは、環境正義や富の平等というイシューでの先住民の権利擁護が重要視されていることの現れである。
資源採掘による環境汚染と先住民の権利、災害被災地におけるレジリエンスの低い住民の生存権、水資源をめぐる住民コンフリクト等、ドミネリは、ソーシャルワーカーが問題解決にあたる必要性を、事例を紹介しながら、強調する。
一読して思うのは、日本におけるソーシャルワークの視野狭窄と非政治性である。本書は、問題解決に向けた実践が、市場原理主義と立ち向かわざるをえないことをふまえ、ソーシャルワークは価値関与的であらざるをえないこと、このことをあらためて想起させてくれた。
目次
序章 なぜ今グリーンソーシャルワークなのか
第1章 社会的・環境的災害の中の専門職の危機
第2章 人間にとっての産業化と都市化
第3章 産業公害と環境悪化、そして人々のレジリエンス
第4章 気候変動・再生可能エネルギーと社会的課題の解決
第5章 環境危機・社会的コンフリクト・大規模人口移動
第6章 環境劣化・自然災害と周縁化
第7章 天然資源の不足と国家間の紛争の解決
第8章 治続不可能から持続可能へ―生活環境と人々の関係を問い直す
終章 グリーンソーシャルワークとは何か
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