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広島、長崎への原爆投下をふまえた冷戦の時代到来の予見(ちなみにオーウェルはCold Warの命名者)、ミャンマー(旧ビルマ)駐在時の経験を踏まえた植民地主義批判、ナショナリズムへの痛烈な批判とパトリオティズム(愛郷心)の擁護等、読みごたえのある論点が散りばめられている。
オーウェルの作品には、『1984年』以外にも、『パリ・ロンドン放浪記』をはじめとした優れたルポルタージュがある。鋭い観察眼と時代を射貫く想像力の片鱗は、本書に収められたエッセイにもうかがい知ることができる。
「経験に裏打ちされ、そして自らへも批判的な視線を向けるのを厭わなかったオーウェルの洞察は、現代を生きる我々の目をも開いてみせる。オーウェルが見通した未来は一九八四年ばかりではなかった。その思考はさらに射程を伸ばし、彼が鳴らした警鐘は、時を超えて二十一世紀の私たちの耳にも鳴り響く。」(解説)
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