論点が多岐にわたり、やや難解な内容ではあるが、なんのための都市社会学なのか、コミュニティ研究の現時点での意義を確認するためにも、有益な書物であると思った。
目次
いま、なぜ都市共生なのか
1 共生
生きられる共同性―イリイチの「共生」概念
都市をどうみるか―漱石・鴎外・須賀敦子の視座
多様性と寛容さ―ジェイコブズからフロリダへ
2 多様性
「美しいまち」と排除の論理―自閉するまちづくりと「異なるもの」
安全・安心―コミュニティの虚と実
新しいコスモポリタニズム
3 ボーダーとボーダーレス
サロンとコミュニティ―コ・プレゼンスのゆくえ
弱さと向き合うコミュニティ
多様性と差異のゆくえ―ポスト都市共生へ
地方のコミュニティは衰退し、都市はグローバル化によって格差が拡大し疲弊している。そして都市の論理が地域のコミュニティを崩壊させている―通常このように否定的に語られることが多い。だが本当にそうだろうか。軽やかに移動し、ICTの様々なコミュニケーションの新技術でつながった人々による、都市における新しい共生の作法がありえるのではないか。多様性を認める寛容な精神に満ちた作法が、既存のコミュニティをも変えていく可能性を探る、碩学による最新社会評論。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事