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本と音楽とねこと

人新世の「資本論」

斎藤幸平,2020,人新世の「資本論」,集英社.(1.23.2021)

 国連のSDGs(持続可能な開発目標)など、実現不可能なまやかしにすぎない。最新テクノロジーの投入により、「気候変動」抑止をはからんとする「加速主義」も、結局、環境危機、資源枯渇をより深刻化させるだけである。
 そこで、筆者が注目するのが、晩期マルクス思想に胚胎していた「脱成長コミュニズム」である。マルクスの「ゲノッセンシャフト=アソシエーション」論を「気候変動」の解決策として位置づけた功績は大きい。
 まず、「働く場」を株主や経営者から勤労者の手に取り戻すことが必要だ。そして、エッセンシャル・ワ-クが創造する「使用価値」が最大限に評価される経済社会に転換していかなければならない。また、環境負荷の大きな消費はできるところから止めていくべきだ。
 コロナ禍は、わたしたちに、SUVも観光も無用のものであることを再認識させてくれた。コロナ禍前の生活に戻る必要はないし、またそうすべきではないだろう。

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。

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