イギリスとドイツを中心に、1990年代から2000年代前半までのヨーロッパ社会における社会民主主義政権の功罪を問うた一冊。骨太の論考が並ぶ好著だと思う。とくに、完全雇用の福祉国家が瓦解するなかで移民排除の言説が噴き上がるメカニズムを解読した第7章はとても参考になった。
目次
序章 市民社会民主主義は可能か
第1章 ニューレーバーはモデルたりうるか?
第2章 社会民主主義政党のイノベーション―ドイツを中心に
第3章 「第三の道」以後の福祉政治―社会的包摂をめぐる三つの対立軸
第4章 雇用と労働のポリティクス―イギリス労働党の挑戦
第5章 刷新された社会民主主義と「市民活動の将来」―ドイツにおける市民社会強化戦略を中心に
第6章 現代ヨーロッパ民主主義と市民教育
第7章 欧州諸国における移民政策と国内政治―イギリスとドイツの中道左派政権下での移民政策の構造転換
第8章 「労働党外交」は存在するのか?―イギリス「社民主義外交」の系譜
第9章 中道左派政権と労働組合―その制度的リンケージの変化
座談会 欧州中道左派政治のこれまでとこれから(坪郷實・山口二郎・小川有美)
ヨーロッパの社会民主主義は試練の時を迎えている。成熟のメルクマールである「市民社会」を接点として新たに創出した「市民社会民主主義」という言葉を手がかりに、これからの社会民主主義の可能性を探る。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事