本と音楽とねこと

安いニッポン、貧乏国ニッポン

 バブル経済崩壊以降の「失われた30年」のあいだに、日本は、先進産業国グループから転落し、「貧しい国」に成り下がってしまった。
 目から鱗だったのが、『貧乏国ニッポン』で示されている、「購買力平価為替レート」での日本の一人あたりGDPである。
 1980年代に日本は世界一の富裕国となった。これは、欧米諸国との「貿易摩擦」の末に、過剰に円の通貨価値が評価されたがゆえの幻想でしかなかった。
 韓国、台湾、中国等、近隣諸国の経済成長を傍目に、日本の勤労者の実質賃金は下がり続けてきた。勤労者世帯の購買力が低下するとともに、需要不足から経済の縮小が進行してきたというわけである。
 いまだに日本が「経済大国」であるとする認識が、いかに現実から遊離した幻想でしかないのか、この二冊は明確に教示してくれている。


中藤玲,2021,安いニッポン──「価格」が示す停滞,日本経済新聞出版.(7.18.2021)

「日本の賃金はこの30年間全く成長していない」
――「東京は世界一高い」と言われたのも今は昔、物価も賃金も「安い国」となりつつある日本。
国は、企業は、個人はこれからいったい何をすべきなのか?
百円ショップ、回転ずし店、シリコンバレー、インド、アニメ制作会社、京都、ニセコ、西川口……
日経記者が現場から安いニッポンの実情を伝え、その解決の糸口を探る。

目次
第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値水準――物価の安い国
第2章 年収1400万円は「低所得」?――人材の安い国
第3章 「買われる」ニッポン──外資マネー流入の先に
第4章 安いニッポンの未来――コロナ後の世界はどうなるか


加谷珪一,2020,貧乏国ニッポン──ますます転落する国でどう生きるか,幻冬舎.(7.18.2021)

・日本なら高所得の「年収1400万円」、米国では低所得
・日本のディズニーランドは世界で最も入場料が安い
・1989年に1位だった世界競争力ランキング、2019年は30位
・各国の駐在員が住みたい国ランキング、33か国中32位
「日本は暮らしやすい国」は大ウソだった! !
新型コロナが危機の日本を追い詰める
日本人だけが気づいていない、衝撃の現実

目次
第1章 日本はこんなに「安い国」になっている
・「賃金が安い分、物価も安いので暮らしやすい」はウソ
・日本人が海外に出稼ぎに行く日も近い
……
第2章 安さだけではない、日本の転落
・日本からノーベル賞受賞者は出なくなる
・日本の年金制度は新興国並み
……
第3章 なぜここまで安くなってしまったのか
・「日本株式会社」は20年働いて昇給ゼロ
・今すぐ捨てるべき「日本は大国」幻想
……
第4章 モノの値段はどう決まるのか
・金利が分かれば経済が見える
・新型コロナがスタグフレーション誘発も
……
第5章 そもそも経済大国ではなかった――為替レートのマジック
・虚構の「1人あたりGDP世界一」
・打つ手なきポストコロナの経済対策
……
第6章 日本の強みをどう生かすべきか
・手取り14万円 終わっているのは日本かお前か
・インバウンドにも付加価値という視点を

新型コロナウイルスの感染拡大で危機に直面する日本経済。政府の経済対策は諸外国と比べて貧弱で、日本の国力の低下ぶりを露呈した。実は、欧米だけでなくアジア諸国と比較しても、日本は賃金も物価も低水準。訪日外国人が増えたのも安いもの目当て、日本が貧しくて「安い国」になっていたからだ。さらに近年は、企業の競争力ほか多方面で国際的な地位も低下していた。新型コロナショックの追い打ちで、いまや先進国としての地位も危うい日本。国は、個人は、何をすべきか? データで示す衝撃の現実と生き残りのための提言。

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