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本と音楽とねこと

独ソ戦

大木毅,2019,独ソ戦──絶滅戦争の惨禍,岩波書店.(1.3.2021)

 第二次世界大戦におけるソ連の民間人も含めた死者数は、推計で2,700万人。もちろん、参戦国ではもっとも多い。
 スターリンの恐怖政治により、これとほぼ同じ数の人びとが処刑されたと推計されているので、当時のソ連において、いかに人命が軽んじられていたかがわかる。
 レニングラード、スターリングラートをはじめとして、独ソ両軍は、民間人も巻き込みながら凄惨な戦闘を繰り広げた。
 本書では、世界史史上、もっとも多くの犠牲者を出した、まさに絶滅戦争と呼ぶにふさわしい「独ソ戦」の地獄が、軍事オタにはたまらないであろう戦術も含めて、生々しく描かれている。
 戦争捕虜や民間人の虐殺は、ドイツ、日本、イタリア、ソ連、アメリカ合衆国、オーストラリア等々、どの国の軍隊も行っていた。ソ連、アメリカ合衆国等の蛮行が責められないのは戦勝国であったからにすぎない。

「これは絶滅戦争なのだ」。ヒトラーがそう断言したとき、ドイツとソ連との血で血を洗う皆殺しの闘争が始まった。想像を絶する独ソ戦の惨禍。軍事作戦の進行を追うだけでは、この戦いが顕現させた生き地獄を見過ごすことになるだろう。歴史修正主義の歪曲を正し、現代の野蛮とも呼ぶべき戦争の本質をえぐり出す。

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