ドストイェフスキイ(原久一郎訳),1960,貧しき人々,岩波書店.(1.5.2021) ドストイェフスキイの文壇デビュー作である『貧しき人々』。ゴーゴリやバルザックを彷彿とさせる人物造形がすばらしい。 本作は、ワルワーラという若い女性とデーヴシキンという初老の男性との書簡のやりとりという体裁となっている。 見事というほかない含蓄あふれる翻訳は、この貧しい男女の人生がどう展開ししていくのか、読む者を魅了せずにはおかない。 デーヴシキンを捨て、富豪の求婚を受け入れるワルワーラ。尾崎紅葉もこの名作から着想を得たのだろうか。