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明治期に制定された旧憲法および旧民法のもと、男尊女卑の家父長制に虐げられた女性たちの苦悩と絶望とが、大正年間における新聞の投書欄からすくいあげられている。自らの命を絶つまでに追いつめられた女性たちの事件も詳細に紹介されているが、この時代の女性たちの過酷な人生のありようが鮮やかに描き出されている。
家父長制は現在もなお存在する。夫婦同姓主義のもと、約96%の女性が結婚時に姓を変えているし、家族の系譜をたどることができる戸籍制度はその害悪が指摘されながらもなお生き続けている。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や国際勝共連合といったカルト教団、狂信的反共集団と一蓮托生の自民党は、憲法24条に「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」という一文を書き加えようとしている。これまた問題含みの、「1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。2.家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」とする民法第877条が現存するのに加えて、である。
本書でいう「良妻賢母」主義とはすなわち男尊女卑の家父長主義であり、同時に、すべての問題を家族単位の自己責任に帰そうとする反社会福祉の思想である。わたしたちが、カルトや幼稚な反共思想の犠牲になるようなことがないよう、本書に収められた貴重な資料は今後も参照されていくべきである。
「良妻賢母」が女性の理想像とされたのは大正デモクラシーからだった。近代化へ向けてそれがいかにつくられ、受けとめられたのか、豊富な資料から明らかにする。
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