いわずとしれたベストセラー本だが、インフルエンザで微熱が続いている身にはけっこうこたえる内容だった。
レスラーらが快楽殺人者の背後に発見するのは幼少期に芽生えた異常性欲と妄想癖であるが、さらにその背後に陰惨な家庭環境があることを明らかにしている。生まれながらの人格障がいの存在を考えるとロマンティックでさえあるそうした見解には疑問を感じるが、本書がスリリングでかつ資料的価値もあわせもった名著であることはたしかだろう。
目次
1 吸血殺人鬼
2 怪物と闘う者
3 殺人犯との面接
4 暴力に彩られた子供時代
5 新聞配達少年の死
6 秩序型と無秩序型の犯罪
7 プロファイリングとは何か
8 偽装―ごまかしのパターン
9 殺人はくり返されるか?
10 二人のショー
11 プロファイリングの未来
1978年1月23日月曜の夜、カリフォルニア州サクラメント郊外で若い女性の惨殺死体が発見された。全身をめった切りにされ、内臓を取りだされ、口に排泄物を詰めこまれた遺体のそばには、犯人が被害者の血液を入れて飲んだと思われるヨーグルトの空き容器がころがっていた。あまりに奇怪な事件に捜査は難航し、やがて第二の犠牲者が…。当時、FBI行動科学課の特別捜査官だった著者レスラーは、心理学的プロファイリング(人物素描)と呼ばれる捜査技術を用いて犯人逮捕に乗りだした。これは、連続殺人犯の動機や行動パターンを精神科医の協力のもとに推理し、犯人像を割り出す方法である。プロファイリング技術を完成させるために、レスラーは長年にわたって各地の刑務所を訪れ、百人以上の凶悪犯を面接調査した。被害者の体の一部を噛み切る殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者―。彼らを駆り立てるのは何か?異常殺人者たちの心理を追い、著者自らが捜査にたずさわったアメリカの猟奇殺人事件の細部と、その心理分析的犯人割り出しのプロセスを克明に再現する衝撃のノンフィクション。
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