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本と音楽とねこと

ネットと愛国

安田浩一 ,2012,『ネットと愛国──在特会の「闇」を追いかけて』講談社.(10.26.201)

 かつてオウム真理教信者を取材した森達也のドキュメンテーションを彷彿とさせる秀作。
 在特会の過激なデモ活動においては、(全共闘運動とも通底する)祝祭的な連帯空間の高揚、参加者間での承認欲求の深い充足等があり、在日韓国・朝鮮人等を口汚く罵倒する者たちの言動に垣間見れるのは、寂寥感、焦燥感、相対的剥奪感、そして激しい被害者感情である。
 そうした在特会のメンバーに、半ば共感し、半ば冷たく突き放す、取材対象者への歩み寄りと離反とを繰り返す、絶妙な距離のとり方こそが、こうした優れたドキュメンテーションに結実する。
 怖ろしいのは、在特会に共鳴する無数のサイレントマジョリティの存在である。一見善良な普通の隣人たちが、消極的にであれ、第二次安倍政権を支持しているのも必然の理なのだろう。

目次
プロローグ
1 在特会の誕生
2 会員の素顔と本音
3 犯罪というパフォーマンス
4 「反在日」組織のルーツ
5 「在日特権」の正体
6 離反する大人たち
7 リーダーの豹変と虚実
8 広がる標的
9 在特会に加わる理由
エピローグ

「弱者のフリした在日朝鮮人が特権を享受し、日本人を苦しめている」。そんな主張をふりかざし、集団街宣やインターネットを駆使して在日コリアンへの誹謗中傷を繰り返す“自称”市民保守団体。現代日本が抱える新たなタブー集団に体当たりで切り込んだ鮮烈なノンフィクション。「ヘイトスピーチ」なる言葉を世に広め、問題を可視化させた、時代を映し、時代を変えた一冊。講談社ノンフィクション賞受賞作。

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