もとが講話なので、たいへん読みやすい。これ一冊で、網野史学のエッセンスが習得できる。
近世の日本社会は、農民が人口の多数を占める封建社会であった。こうした誤った通説・通念を改める意味でも、現在でもなお有益な、もはや古典と言っても良い作品だろう。
日本が農業中心社会だったというイメージはなぜ作られたのか。商工業者や芸能民はどうして賤視されるようになっていったのか。現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期・中世。そこに新しい光をあて農村を中心とした均質な日本社会像に疑義を呈してきた著者が、貨幣経済、階級と差別、権力と信仰、女性の地位、多様な民族社会にたいする文字・資料の有りようなど、日本中世の真実とその多彩な横顔をいきいきと平明に語る。ロングセラーを続編とあわせて文庫化。
目次
日本の歴史をよみなおす
文字について
貨幣と商業・金融
畏怖と賤視
女性をめぐって
天皇と「日本」の国号
続・日本の歴史をよみなおす
日本の社会は農業社会か
海からみた日本列島
荘園・公領の世界
悪党・海賊と商人・金融業者
日本の社会を考えなおす
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