田中慎弥,2024,死神,朝日新聞出版.(2.6.25) うだつの上がらない「作家」である私の人生の折々に登場してくる、死神。中学二年生で初めて出会ったあいつのことだけは、これまで作品には書けなかったのだが……。芥川賞作家が描く「死」と「家族」。ユーモラスにして、痛烈な新境地。 本作は、希死念慮に取り憑かれた人間の想念を描いた作品だが、言葉や句読点をもう少し工夫すれば、さらっと読める佳作になってたんじゃないかな。 あと、もう少し、毒気が欲しい。 凡庸の域を超えられていない。