読んで初めて知ることはほとんどなかったが、死刑囚とその家族、被害者遺族、刑務官、法務官僚、政治家、弁護士等、直接、間接に死刑(制度)とかかわる人々への周到な取材がひかる一冊だ。
わたしはむろん死刑反対論者で、死刑それ自体はもちろんのこと、いまだに「国家権力による殺人」を許容しているこの国の薄気味悪さにあらためて戦慄する。
世論調査では日本国民の8割が死刑制度に賛成だ。だが死刑の詳細は法務省によって徹底的に伏せられ、国民は実態を知らずに是非を判断させられている。暴れて嫌がる囚人をどうやって刑場に連れて行くのか?執行後の体が左右に揺れないように抱きかかえる刑務官はどんな思いか?薬物による執行ではなく絞首刑にこだわる理由はなにか?死刑囚、元死刑囚の遺族、刑務官、検察官、教誨師、元法相、法務官僚など異なる立場の人へのインタビューを通して、密行主義が貫かれる死刑制度の全貌と問題点に迫る。
目次
1 死刑の現実
死刑囚たちの日常
死刑囚たちの胸中
オウム元幹部13人への執行 ほか
2 死刑と償い
ある「元死刑囚」の記録
死刑になるはずだった元凶悪犯
被害者遺族と死刑
3 死刑の行方
絞首刑は残虐か
世論調査にみる「死刑」
死刑廃止は可能か ほか
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