①にも載せた「青楼」と呼ばれる木造の建物です。↓
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正山小種、ラプサンスーチョンと言えば、必ず話に出てくるのが、この建物の話だと思います。
巷では、この木造の建物の話になると、独特のスモーキーフレーバーの着香の話ばかりがクローズアップされますが、果たしてこの「青楼」の使用目的はそれだけなのでしょうか?紅茶の始祖と言われているこの正山小種、ラプサンスーチョン。中国紅茶に限らず、世界中の紅茶にとって、その存在意義とは何なのでしょうか?
それにはまず紅茶の製造工程を頭に入れ、この青楼の構造を知ることが肝要かと思います。
紅茶の製造工程を極力シンプルに記すと…
①摘採→②萎凋→③揉捻→④静置(発酵)→⑤乾燥
となります。
一方、青楼ですが、これを上記の工程に合わせると
◉まず1階部分。↓
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ここで松を焚きます。熱と煙が上階へ上がります。
◉2〜3階部分↓
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ちょうど稼働中なので煙い状態でした。ここでは床から熱、レンガで造られた穴から煙が出てきます。そして棚のようなものが何段かあり、揉捻が終わり、少し発酵が始まった茶葉(✳︎)を並べます。(紅茶製造工程の④と着香にあたります。)
◉4階は↓
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このような竹板を張り巡らせた床に、ゴザのようなものが敷かれ生葉が静置されています。(紅茶製造工程②)
この青楼というものは、とても良く出来ていて、建物1つの中で萎凋、発酵、着香が一定量出来るようになっています。当時としては画期的なものだったのではないでしょうか。
つまり、この青楼は紅茶の歴史上、最も原始的な大型製茶機械であり、今となっては正山小種・ラプサンスーチョンも含めて、そこに最も大きな存在意義があるのではないかと、私は考えます。
意外と半世紀後には、上記のような話が見直され、昨今ブームになった金駿眉ではなく、旧来からあるこの地のお茶に再び歴史的付加価値が付くのではないでしょうか。そうであって欲しいと願います。
✳︎この時の茶葉の色は、書籍には「古銅色」と書かれていますが、地元では「緑豆色」と呼ばれています。