浙江省、江蘇省、安徽省、福建省、雲南省…幾つか回りましたが、腰を落ち着けて見てみようかなぁと思えたのは広東省潮安県鳳凰鎮ウードン村の農家でした。
当時この村は人口も500〜600人位。
私が初めて訪れた時には、車道は舗装されてなく、山の麓から車で村まで上がるのに2時間近くかかりました。標高1000メートル近くにあるこの村は、民家が山の斜面にへばりつくように点在していて、夕方になると夕食の準備の際の煙が出ているのが見え、街灯がないため、夜は真っ暗になりました。
村民は山の麓の街へ行く際は皆バイクでした。私もこの村を初めて訪れた時は車でしたが、その帰り、そして2回目以降の訪問は数年間バイクでした。国から走行は危険という理由で批准が下りず、車両の通行が禁止されてる道をバイクで一気に下りるのは、なかなかスリル満点でしたが、お天気の良い日は気持ちが良かったです。
お世話になった農家の技術は、とても安定していました。家のお父さん(以下、おじさんと書きます。)は当時60代でしたが、村の中では教育を受けた部類に入る人材だったので、普通話(標準語)でしっかり話ができ、幸運でした。外国人である私を、彼の家の中で好きに、何でもさせてくれ、私の話に常に真剣に耳を傾けてくれました。生まれも育ちも何もかも違うのですが、割と短期間でどんどん打ち解けて、何でも話せる間柄になって行きました。お昼から翌日の朝まで、ずっとずっとお喋りし続けたこともあります。
ただ、私はまだこの時も毎年オフシーズンに通う…程度の考えで、まさか春茶のハイシーズンに工場に籠ることになるとは、考えてもいなかったのです。実際、最初の数年は武夷山へ行ったり、各地のお茶の祭典に出たり、あちこち回っていました。