2015年12月8日のブログ記事一覧-カトカト日記 株式会社加登 門真店篇 ~門真・四條畷・寝屋川・守口・大東エリアでお墓のことならおまかせください~

こんな絵なのに泣ける漫画三選

皆さま、お待たせ致しました!
実際に誰が待っていたのかには触れないで頂きたいこのシリーズ
前回の「映画三選」に続いて本日は漫画三選です。
映画の時と違って、今回はどれもお勧めですよ。

泣ける?
こんな絵なのに?
感動できます。
この絵だからこそ。


・みどりのマキバオー

30歳代くらいの人達には、良くも悪くもかなりメジャーな作品でしょう。
内容としてはスポ根漫画の王道をゆく、つの丸先生の作品ですが
なんといってもこの絵がインパクト抜群じゃないですか。



主人公のうんこたれ蔵(本名ですよ、念のため)は競走馬。
ヒト語を普通にしゃべります。
しかも、ゴロ寝してテレビ見ながらリンゴ食って屁をこきます。
口ぐせは「んあ?」と「なのね~」
どう見積もってもお笑いにしかならなそうなキャラ設定でいったいどう感動しろと?
思うでしょ?
これがものの見事に裏切られてしまうんですね。
この作者さん、ストーリー作るのすごい上手いんですよ。

ネズミの親分・チュウ兵衛の命を懸けた騎乗
ライバル・カスケードとの度重なる死闘
そして衰えゆく同世代のライバル馬たち、新たな世代の台頭。



競馬の事を知らない人でも、過酷なレースの世界にいつしか惹き込まれていけます。
速いだけでは勝てない、では勝つためには何が必要なのか?
様々な逆境を、地を這いながら泥まみれになりながら克服していく
たれ蔵の姿には、本当に感動できます。
そして泣けます。



絵で敬遠して見逃してる人、もったいないぞ!
まあ、その気持ちは判りますけども


・自虐の詩

マキバオーから時代を遡って、50~60歳世代の方に知られている作品。
本作品の連載終了後に、作者の業田良家さんは誰も知らない存在から
一気にメジャー作家となりました。
これもまあこの絵柄からはおよそ想像の付かない感動作です。



ギャンブルばかりしているダメ男イサオと、そのイサオに尽くす幸江の二人を描いた
漫画で、序盤から中盤にかけては二人のドタバタ喜劇です。
・イサオが幸江に金をせびる
・幸江がその金策に苦労する
・事ある度にイサオがちゃぶ台をひっくり返す
基本、この3パターンの繰り返し。
延々と、本当にただただ視点を変えてこれをひたすら見せられます。
そしてこれが実は、後からじわじわ効いてくるのです。

で、物語後半、その名前とは正反対に幸薄い幸江の幼少期回想が
増えてくるあたりから、一気に本作はストーリー性が濃くなります。
借金まみれの父、顔も覚えていない母。
新聞配達をしながらの小学校通い、毎日やって来る取り立てヤクザ。
前向きに強く生きようと思いつつもいつしか心折れ
唯一と言える親友を裏切ってしまい、自らの存在感の無さに悩み
健気さと腹黒さの合間を行ったり来たりしながら毎日を生き抜いていく幸江。

そんな回想シーンを見てしまうとですね、不思議なことが起こります。
時折ふと現在の時系列に戻って、いつものやりとりが描かれる。
最初に書いた、3つのパターンてやつですね。
序盤に見たときと描写は何一つ変わっていないのに、
唯一幸江の心理状態だけが違って見えるんです。
お金をせびられても、その為に毎日苦労をしても、ちゃぶ台をひっくり返されても、
なんだか幸江の表情に少なからず、ある種の幸せが垣間見える…気がしてくるのです。
このあたりの何気ない空気感を読ませる場面転換は絶妙。

そして最終盤に怒涛の展開を見せつつ物語はフィナーレへと進んでいきます。
「この町に住むすべての人が母から生まれた」
という何気ない一言を、顔も憶えていない自分の母を恨み続けた幸江が
身籠って自身も母という立場になろうかという時に言うシーンは圧巻。
出前の岡持ち持ってお腹に手をやり、陸橋から町を見渡すこのページは
もうなんてゆーかね、卑怯ですよ。

「そしてこの子は私から生まれる」



なんか最近出番が少ないといわれたので。
あざとい、さすがクロあざとい。


・ぼくんち

「ちくろ幼稚園」から「ゆんぼくん」の流れを汲んだ
西原理恵子作品の集大成と呼べる漫画、或いは絵本。



世界一簡単な哲学書、と評される事もあるこの作品は
西原女史の生まれ故郷・高知県の漁師町が舞台で、身寄りのいない幼い兄弟が
ある日突然現れた姉とともに貧困の中を生き抜いて行くという物語。
全ページ、絵本のように色彩鮮やかな独特のヘタウマパステル調で
恐ろしいくらいにドギツイ表現をかましてくる西原ワールドは
似た作風の後追い作家をどれだけ生んだ事でしょうか。



この作品の内容については多くを語りません。
ぜひ、読んでみて下さい。



ちなみにこの漫画が出版された頃の
「このミステリーが凄い!」という小説ランキング本で
ぼくんちを推している選者さんがいました。
「漫画でここまで書かれるとどうしたらいいのか困る…」
といった内容のコメントを憶えています。
漫画としてこのミス史上に名を連ねたのは後にも先にもぼくんちだけでしょう。