皆さま、こんにちは。
ikus.医療美容ケア研究会 認定サロン atelier Frangipani 高溝です。
今回、かなりの長文です。シリコンでの乳房再建に興味のない方はスルーして下さい。
一昨日、ブログに書きましたが、昨日の日曜日、たまたまお客様がキャンセルになったので、KSHS全国大会に行ってきました。
KSHS全国大会とは・・・見て聞いて触って学べる「乳がん治療のホンネ2019」ということで、乳がん治療について、乳房再建についてかなりの著名な先生方が集まってぶっちゃけトークをしてくれるというもの
以前、患者会ブースでネイルサービスなどをやらせて頂いたことがあります。
今回は、この講演会に参加した経緯を説明しておきます。
木曜日のヤフーニュースに以下の文言を発見してびっくりしました。
製薬アラガン、人工乳房をリコール 安全性に懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47754830V20C19A7000000/
アラガン社のシリコンが使用禁止になってしまったら大変なことです。
これはしっかりと情報収集してこないと・・・
そう思って、日曜日、KSHSの全国大会に急遽参加することにしたのです。
なんといっても、乳がん、乳房再建の世界では、有名な先生方が多数参加されますから・・・
まず最初は、乳がんの症例から、12年前と今で、診断の仕方の違いとか、手術の選択の違いとか・・・
実際のCT画像を見ながら、先生方の解説が入ります。
病理の先生もいれば放射線科の先生もいますので、この場合だったら、どう考えるとか・・・すごく参考になりました。
今では、当たり前に皆さんに説明される「ki67」という数値
がんの増殖能を表した数値ですが、12年前はその検査はなかったんですよね。
HER2検査も治験だったそうです。ハーセプチンが初発の方に使えるようになったのは2008年~ですからね。
この10年で、医学はすごく進化しているんですよ。
またそのあたりの事は、詳しく別の記事で書きますね。
さてさて、いよいよ、「乳房再建の今!」再建ぶっちゃけトークです。
まずは、亀田メディカルセンター乳房再建外科部長の浅野裕子先生から、乳房再建の基礎講演
乳房再建の基礎的なご説明でした。
浅野先生は、シリコンと脂肪注入のハイブリット再建を導入された先生ですね。
そして、私の主治医でもある、横浜市大センター病院の再建外科准教授の佐武利彦先生の自家組織による再建についての講演でした。
この5年くらいで、日本で再建する人はすごく増え、自家組織再建が4倍、シリコンでの再建は11倍になったそうです。
2013年にアラガン社製シリコン性インプラント(人工乳腺)およびエキスパンダーが厚生労働省の薬事承認をうけ、保険適応での治療が可能となったことが要因ですね。
日本では、保険適用のシリコンは、アラガン社のものだけなんですよね。
このアラガン社のシリコンが、リコールとなり、全面的に使用中止になってしまいました。
そもそも4月の時点でフランスでは、アラガン社のシリコンは、使用中止になっていました。
それは、人工乳房が原因で悪性のリンパ腫(がん)を発症したと見られる患者が世界で573人確認され、そのうち481人がアラガン製品を使用していた。ということが判明したからです。
この時点では、日本では、発症していないので、患者さんに十分な説明をした上で、再建手術を行うかどうか判断してもらうということが厚生労働省から発表されていましたね。
この時に、全国で調査を行ったところ、実は日本でも1例発症していると言う事実が判明しました。
それが6月だったと思います。このニュースもちょっと衝撃的なニュースでした。
それでも、発症確率はすごく低く、そこまで気にしている患者さんは少なかったのではないかなと思います。
そもそも、シリコンを入れていることでなぜ他のがんになってしまうのか・・・
私はそこが、ずっと疑問でした。
今回、埼玉医科大学形成外科・美容外科教授の三鍋先生の説明がわかりやすかったです。
異物であるシリコンインプラントの周囲には人工物に対する自己防衛反応として被膜(カプセル)が形成されます。そしてそれがさらに硬くなって締め付けられそうになる被膜拘縮と呼ばれる問題があります。
これはたぶんシリコンの再建をされる方は合併症として説明をされていると思います。
この被膜に出来るのが、今回問題になっている「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」ということになります。
シリコンを入れることで出来てしまう被膜にできるがんなんですね。
そういうことだったんですね。
今、シリコンが入っている方は、心配ですよね。
でも発症確率はすごく低いです。約0.004%
そして発症するのはインプラント挿入から平均9年ということだそうです(日本で発症した方も17年経過している)
では、今、インプラントを入れている方はどうしたらいいのか・・・
それは、こんな感じで説明がありました。
重要なのは、1年に1回は定期検診、2年に1回は画像診断を、生涯続けること・・・生涯です!
もともと、ブレストインプラントの使用基準・ガイドラインですが・・・
・シリコンでの再建をした場合、最低10年間の経過観察が必要
・2年に1度はMRIや超音波検査などを行い、インプラントの状態を確認すること
10年の経過観察が必要というガイドラインでしたが、今回の件で、シリコン再建をしている方は、生涯、経過観察を続けることが重要だそうです。
10年経ってから発症することが多いですからね。
またあきらかに再建した胸に異常が出てきた場合には、すみやかに医療機関を受診すること
これが重要だそうです。
ここまで書くと、心配になるかたもいますよね。
そんなんだったらシリコンを除去したいという方も出てくるのでは無いでしょうか。
その場合、どうなるか・・・
病気が発症していない状態での除去は、保険適用外になります。
でも、今回は、事が事ですから・・・皮膚縫合術という形で保険適用出来ないか、検討中とのことです。
このあたりは、病院によって対応も変わるかもしれませんので、ご自身の行かれている病院に相談してみてください。
ただ、まだ、何も決まっていないところが多いと思います。少し時間を置いてからでもいいと思います。
次に・・・
今現在、エキスパンダーを入れて入れ替え手術を予定していた方、これから手術でエキスパンダーを入れようと考えていた方ですが・・・
日本で保険適用のシリコンは、アラガン社の物だけなので、今後保険適用でのシリコンの入れ替えは出来ません。
保険適用外のシリコンは使えますので、自費でということでしたら、シリコン入れ替え手術も出来ます。
アメリカでは、アラガン社以外に、2社のシリコンが使えるそうです。日本でもこれが使えるようになるといいなぁと希望を先生も言っていました。
あとは、自家組織再建に切り替えるという方法もあります。
ただ、自家組織再建は、手術時間が長いとか傷が増えてしまうとか、マイナスイメージも多いですよね。
出来る病院も少ないですし・・・
ただ、自家組織再建、良いところもあるんですよ。
もちろん柔らかくで暖かくて下垂した自然な胸が出来ます。
それ以外に、ドナーの部分の脂肪が無くなるということです。
私は、お腹の脂肪を使った自家組織再建をしています。お腹の脂肪は、2度とつかなくなるんですよ。
私の下っ腹はぺったんこですよ(笑)
年齢を重ねて下っ腹が出てくるということは、無いんです。これは嬉しいですよー
それが、最近ではさらに進化しているらしく・・・これは佐武先生の説明だったので佐武先生しかやっていないかもしれませんが・・・
下っ腹の脂肪は、胸に移植をしますが、その採った脂肪の脇の部分とか、おへその上の脂肪が、逆に目立ってしまう。そう、私も脇とへその上は、脂肪が付いています(笑)
最近は、美しく再建するということにこだわっている佐武先生
脇と、へその上の部分を脂肪吸引して、なだらかに自然にしてくれるそうなんです。
うーーーーーーーん、私の時はそんなことしてくれなかったのに・・・
今からでもやり直したいと思ってしまった・・・
佐武先生の手術は2年待ちとか3年待ちとか言われています。
初診でさえも8ヶ月から10ヶ月待ちだとか・・・
それから、今は脂肪注入での再建にも力を入れているそうで、症例も増えてきているようです。
脂肪注入の再建は、今は保険適用外ですが、保険適用になればいいですよね。
自家組織再建は、今回の件でさらに希望者は増えるのではないかなと思いました。
エキスパンダーは、ある程度長期間入れていても問題はないそうです。
今回の騒動は、まだ始まったばかりで、学会の対応も決まっていません。
しばらくは、様子を見るのがいいかと思います。
いろいろ情報を集めいたいと言う方・・・
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会総会が、10月11日に大宮で開催されます。
今回初めて患者さんの参加もOKになりました。
今回の件で、緊急で「患者さん向け説明会開催」が決定したそうです。
まだ詳しいことは発表されていませんが、随時下記ページで更新されるようです。
http://jopbs2019.umin.jp/index.html
私も参加しようかなと思っています。
今回は、急に参加しましたが、たまたま予約がキャンセルになって時間があったので・・・
これ、偶然とは言えすごいことです。普段の土日だったら忙しくて絶対に行けませんでしたから・・・
金曜日にチケット申し込んで土曜日に受け取って日曜日に参加してきました。
でも、参加出来て良かったです。
いろいろ不明なところもわかりましたし・・・
ご不安なことがあれば、私でわかる範囲はお答えしますので、ご来店の時に聞いて下さい。
今回の資料も、お店に置いておきますね。
長々と読んで頂きありがとうございました。
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