立法院(定数113)選挙でも国民党は64議席の過半数を維持したが、改選前に比べて8議席減らした。他方、独立志向が強いとされる民進党が32議席から40議席に議席を増やした。立法院選挙でも台湾内部に根強い対中接近への警戒が示された形で、今後、馬氏はこれまで以上にこうした警戒感に配慮せざるを得ないだろう。
もともと1949年に共産党との内戦で敗れた国民党が台湾に移った経緯がある。その国民党政権を現在は大陸の中国共産党が支持する構図になっている。
台湾(人口約2300万人 面積3万6000平方キロ)はGDPの7割強を輸出が占める。最大の輸出国(2010年に香港経由含め輸出の42%)である中国との関係改善を進めた馬政権はとりあえず政権の維持を達成したといえる。2011年の実質経済成長率は4.51%(2011年11月24日現在見通し 台湾行政院主計処発表 2011年4-6月期のマイナス成長それまでの高成長から)。11月25日 加権指数 年初来安値の6784(11月14日7525.65 8月以降7000台でもみあう それまでは8000台後半 IT産業の業績悪化)など。背景に輸出低迷。来年は3.0%程度に減速(豪州ANZ銀行)が見込まれる。
なお馬政権のもとで、中国と台湾の経済関係は進展した。就任直後(2008年5月政権発足)に対中投資規制を大幅に緩和法人税率を25%から17%に引き下げ。2010年2月にはIT分野の対中投資規制緩和を発表。2010年6月に経済協力枠組み協定ECFAを締結(2010年9月発効 2011年1月から関税引き下げ始まる。825品目 中国側557品目2009年の台湾からの輸入の16.1% 台湾側267品目 同10.5% 2013年には全品目の関税をゼロにすることが目標。今後は中台で利害が対立する側面も予想されている。たとえば台湾はなおハイテク投資の対中投資の一部を規制している。そして中国政府の目標は自国の産業高度化にある)。今後はモノだけでなく、サービス、投資、紛争処理の3分野でも協定締結が進む見込み。シンガポールと自由貿易協定締結交渉。2011年1月正式交渉開始2011年6月末 中国からの個人旅行を解禁。2011年9月 に日本と投資協定締結(台湾からみて日本は最大の直接投資国)。
中台の連携強化は、日中台の国際的分業の拡大につながり、日本にも利点があるとされている。しかし他方で中国は国際戦略として、台湾だけに依存することは考えてはいない。台湾内部でも、中国との関係強化は当然としても、それに加えて日米欧をはじめ国際的な提携関係を拡大する必要は強く意識されている。
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