Entrance for Studies in Finance

Case Study: Asahi Breweries アサヒビール

アサヒビール(傘下にニッカウイスキー)のM&A戦略 主力品ドライに集中 高い利益率 一番手集中戦略:キリンはブランド数多い。

2015年4月 インドネシア(2011Suntory ;2012 アサヒ; 2013 伊藤園 ;2015年3月にサッポロが参入)食品最大手と合弁で自社茶系飲料工場立ち上げ

2016年4月 英ビール大手SABミラー傘下の欧州ビール4社(イタリアのペローニ オランダのグロルシュほか)を26億ユーロ(3200億円)で買収する契約結ぶ 他方米飲料大手トーキングレインの5000億円規模の買収は撤回 ← ビール最大手のアンハイザーブッシュインベブによるSABミラー買収に伴うもの

民主党の失政によりひっそり始まったアサヒと頂新の資本業務提携(2010年10月)
 アサヒビールと頂新集団(中国食品最大手)への出資が2010年9月28日に正式に発表された。画期的なことだったが、民主党政権の失政により中日関係がもっとも緊張したときの発表になったのは残念なことだった。2010年9月7日- 日本 日本の巡視船と中国漁船衝突で対日関係緊張へ 外交に未熟な民主党は対中関係を緊張させる政策を結果として選択。対中、対韓とも人的信頼関係を欠き、結果として、対中、対韓関係を前例のないまで悪化させていった。とくに対中関係を、国交回復後、最悪とされるところまで悪化させた。
 これは2010年10月末に頂新ホールデイング(台北市)の第三者引受増資を引き受け6.54%を取得。すでに20%を出資している伊藤忠と連携して、中国での調達から販売まで広範囲な協力関係を築くというもの。この頂新の傘下に著名な康師傳(中国への即席麺の製造販売で急成長し即席麺で中国首位。海外の進んだ製品や技術を、現地の嗜好や購買力に合う形で中国に持ち込む「時間差経営」。即席麺で1999年からサンヨー食品 2009年に即席麺より大きな規模になった飲料ではアサヒG カゴメと組み。2012年4月からはスナック菓子でカルビーと組む。アサヒ以下は伊藤忠商事が仲介。また2012年4月にペプシコの中国飲料事業の運営の委託を受けたことでも話題を集めた)がある。
顶新国际集团
 2012年4月 カルビー食品の中国への進出にあたっても、この頂新グループ、伊藤忠との提携が出ている。
 なおキリンは、中国のビール最大手、華潤集団と提携している。この企業集団も巨大である。
华润集团

アサヒは青島啤酒(青島ビール)にも出資
 なおアサヒは1994年に杭州ビールに出資。2009年4月には青島ビールに約20%出資(640億円)。ビール事業では大きく中国への舵をきっている。しかし2011年8月 杭州ビールの全持ち分55%を華潤雪花ビールに売却するとした。2010年11月に華潤創業(雪花はブランド名 華潤雪花とも呼ばれる 北京 中国最大手 キリンの提携相手でもある)が公開入札で杭州の45%を取得。共同経営の話し合いがまとまらなかったもの。 
 非ビール事業(清涼飲料事業)の強化をビール各社は目指している。背景には若者のビール離れがある。

 青島ビールについてはサントリーが合弁の構想を明らかにしている(2012年6月5日)。サントリーが事業展開する上海と江蘇省で、青海と組んで合弁会社を設立。共同生産・販売するとのこと。サントリー、青島は、華潤雪花と、この2つの地域で激しい販売競争を繰りひろげているが、独力で市場開拓の限界から現地大手と組む選択をしたもの(中国のビールは華潤雪花21.6%:シェアは2011年の数値、青島14.3%、燕京11.5%(とくに北京ではよく飲まれる)、それにハルビンを2004年に買収した世界最大手アンハイザーブッシュインベブ11.8%までが4強。日本メーカーはサントリーが上海と江蘇省でtopシェアをもつが、全国シェアはそれでも1.6%)。

国内では清涼飲料事業を強化
 アサヒは国内では2010年5月 ハウス食品から「六甲のおいしい水」事業を買収。さらに2010年12月にはカゴメから「六条麦茶」の
製造販売権の譲渡を受けることになったと報告された(譲渡金額公表されず)。アサヒは2011年4月から六条麦茶を発売している(なお
アサヒのブランドとしては十六茶があり、麦茶がなかったわけではない)。清涼飲料事業(三ツ矢サイダー バヤリースなど)は委託生産で事業を拡大できる半面、市場が過当競争で利幅が薄いことが問題。採算の管理、利益率の改善が課題とのこと。
 その後 アサヒは味の素からのカルピス買収を発表している(2012年5月8日合意発表 買収額は1000億円程度 2012年10月1日買収完了)。アサヒとしてはカルピスブランドは魅力。かつカルピス(2.5% 2011年実績)を加えることで伊藤園(11.2%)を抜いて清涼飲料業界(国内市場規模は横ばい)の販売順位で3位(12.4%)につける(1位コカコーラ28.4% 2位サントリー21.9%)ことは大きな意味がある(すでに2007年に自動販売機事業を共同化 今後は営業を一本化して販売力強化 販路拡大による増収 共通化によるコスト削減などを期待)。
 味の素としても相乗効果の薄いカルピス(1917年創業の老舗 2007年に味の素の100%子会社になり上場廃止 同年アサヒ飲料と自販機事業を統合)は売却対象。
 2012年4月 黒ビールのドライブラック発売
 2012年9月 フィリッピンでスーパードライを本格発売
 氷点下ビール(2013年海外展開始まる)
 キリンが一番搾りフローズン
 アサヒがスーパードライエクストラコールド
 ビール各社は販促費を1ブランドに集中。サントリーガプレモル伸ばす(2013年1-9月国内販売量順位 スーパードライ 一番搾り プレモル 黒ラベル ラガー エビス)。サッポロはエビスにサントリーはプレモルに集中(高級ビール市場の6割のシェアを占める)。結果として順位落とす。
 既存資産の有効活用 ローリスクローリターン経営 ⇔ 特定ブランドへの依存度の高まり 商品開発の柔軟性奪う問題
 2013年3月 クリアアサヒの派生商品としてプライムリッチ

  2016年1月1日付けでアサヒ飲料とカルピスを経営統合する。さらに食品事業はアサヒグループ食品にまとめる方針(2015年6月報道)

プレミアムビール(高級ビール 市場全体の7%程度)の販売で一矢
2013年6月 ギフト用ドライプレミアム発売開始 販売好調
 2013年12月 マレーシアでワンダの現地向け発売開始 提携先現地飲料大手ペルマニス(2011年買収済み)
 2013年12月期決算 連結経常利益4期連続過去最高を達成
2014年1月31日 アサヒHDの時価総額(1兆3603億円)が1949年の上場来 はじめてキリンHD(1兆3567億円)を上回った。
 2014年2月 ギフト用ドライプレミアム(アルコール分6%)を通年販売 高級ビールに参戦(先行はサントリーのザプレミアムモルツ:プレモル:2003年に発売開始火付け役になる。2012年3月中身を刷新 サッポロのエビスは1971年発売の古参 その限定品で琥珀エビス キリンがコンビニ限定でグランキリン2012年6月から)
 キリンは2014年1月に中元用商品として「一番搾りプレミアム」を6月から投入するとしたが、明らかに後多い。キリンは国際市場で頭が抜きでた分、国内では株価でも戦略でもアサヒに抜かれた印象だ。国内での競争に負けても国際市場でシェアを伸ばせるものか注目したい。
 なお 2012年にアサヒが買収したカルピスのタイでの事業。これは1997年に開始されたものだが2011年の水害で事実上停止していた。これをアサヒは復活させることにした。2013年にはまず委託生産開始。2013年内には自社工場の建設をはじめ2014年にも自社工場稼働の予定。

注目されるコンビニPB高級化とビールとの関係
 品質を重視した高級PB戦略をコンビニは取り始めたセブン&アイHDのPBセブンゴールド。現在20品目を2015年度には300品目に。
 2013年4月に売り出した「金の食パン」
 ビールの販路の1割ほど。
キリンーセブン&アイ 2012年6月 グランドキリン
 サッポローセブン&アイ 2012年11月 セブンプレミアム100%MALT
 サントリー(2009年からセブン&アイにPBザブリューを供給) 2013年6月 ザゴ-ルドクラス 
 アサヒーセブン&アイ  ザエクストラ
 アサヒーローソン 通常 クリーミープレミアム
 グランドキリンからゴールドクラスまで。コンビニ側が買い取ることで、いわゆるプレミアムビールより低い販売価格を実現している。

持ち株会社化で加速するM&A戦略
 アサヒは2011年7月から持ち株会社に移行(すでにサッポロは2003年 キリンは2007年 サントリーは2009年に持ち株会社化)。持ち株会社化はグループの経営戦略を素早く決定実行するのに有効とされる。2011年から2012年までの2年間で最大4000億円(この規模は2009/2010年のM&A資金の2倍にあたる 2015年まででは8000億円という)を投じて海外事業を強化する(海外売上高比率が30%近いキリンに比べて2009年9月段階では5%強と出遅れ)。2010年に約7%だった海外売上高比率を2015年までに20%以上に高める計画。
 既述のようにアサヒグループHDの2012年12月期の売上高は1兆5800億円 営業利益は1080億円 純利益は650億円の見通し(2012/12)。

中国のほかオーストラリアに照準
 アサヒは、海外では中国のほかでは、オ-ストラリア。その豪飲料のシュウェップス・オーストラリア(2009年に770億円を投じて買収 豪州2位)が好調。そこで2010年8月には豪州3位のP&Nを2010年11月に買収すると発表した(豪でのシェアは合わせて30% 首位はコカコーラグループ)。買収金額272億円。ところがこの計画に豪独占禁止当局(ACCC)が炭酸飲料と濃縮飲料の寡占化を問題にして反対を表明した(2011年3月9日)。そこでP&Nのミネラルウオーターと果汁飲料事業(つまりP&Nの事業の一部)を買収する合意が2011年7月に改めて交わされた(2011年7月4日)。買収金額は170億円とされている。
 2011年8月 アサヒはニュージランドの酒類大手インデイペンデントリカーの買収を発表した(10年度の売上高は日本円換算で243億円 営業利益53% 2011年度の売上高営業利益率は見込みで27%とのこと)。買収金額は976億円(約1000億円)で全株取得とのこと。投資ファンドなどから全株を取得とのこと。また9月中にニュージランドの飲料メーカー、チャーリーズ・グループを買収する。
 このほか2011年7月にはマレーシアの清涼飲料2位のペルマニス(本社クアラルンプール ペプシコの商品のマレーシアでの独占販売権をもつほか独自商品を販売)の買収も決めている(11月をめどに全株式取得 取得金額216億円)。こうした動向に合わせて2011年秋に、オーストラリアに事業統括会社を設立するとのこと(この段落は2011年7月記載)。
 2012年にはペルマニスのクアランプール郊外の工場の設備を増強、需要増に備えた。またインドネシアでは、大手財閥サリムグループの中核企業のインドフードと2012年9月に設立した合弁会社を通じて、まずは委託生産で清涼飲料水の生産販売を早ければ2013年夏に開始。その後、販売量が確保できた段階で自社工場を建設、2015年までに稼働という青写真を描く。
 カルピスと合わせて国内の飲料売上高を2015年に5000億円以上(2012年現在は4500億円)。2015年に海外売上高を4000億円(2012年現在は1000億円)にするとしている(日経2012年10月5日ほか)。
 13年12月期には海外売上高比率はなお11%(約3割のキリンとは明らかに劣る)。その81%をオセアニア事業が占める。現地通貨ベースで売上高が伸びていない背景には、大手との競争があるが生産物流への投資で収益化を急ぐとしている。アサヒは国内ビールは好調。国内最大手となった(スーパードライは国内販売量最多)。時価総額でもキリンを抜いた(2014年1月末)。高級ビールにも参戦(2014年2月ドライプレミアムを本格的に売出)。その利益を将来をにらんで国際事業に投資しているが、そこでの採算がわるい。
 インドネシアでは2014年内に清涼飲料の工場を新設。タイでは地元のオンサファと合弁でカルピス(1997年に進出していたが2011年の洪水で事業停止 2011年アサヒが買収)ブランドの商品を2013年夏から販売しているが、2014年6月から新工場稼働で増産へ。ベトナムではマレーシアのエチカデイリーズの拠点を買収(2014年6月買収完了)。拠点として活用方針。ミヤンマーへの合弁での進出も決定済み(相手はロイヘイン 発表は2014年3月)。など加速させ生き残りを図っている。
 コカコーラやネスレと戦えるグローバル企業が目標。連結売上高1兆7000億円。コカコーラはその3倍。ネスレは6倍。 
食品業界の他の企業の動き 味の素 伊藤園 カルビー サッポロビール
食品業界の大企業:味の素 
 飼料用アミノ酸リジン 加工用うまみ成分がかつては利益源 だが今は中国メーカーの安値合戦で08年か10年にかけ利益急減 食品で世界大手ノネスレに比べ大型商品持たない弱み 低カロリー甘味料 今後は機能性食品(健康増進効果のある特定保健用食品)か
 国内 女性の社会進出 高齢化 短時間で調理にもニーズ ネスレを意識してROEを重視した経営進める 目標14年3月期ROE8%(13年3月期7% ネスレのROEはおおよそ倍)総資産回転率向上(保有株式の処分も進めて総資産圧縮 保有の必要性検証)
 非中核事業の切り離し
 2006年12月 メルシャンウイスキーをキリンに売却
 2007年5月 カルピスをアサヒに売却(ダノンに譲渡する話もあったが)
 中核事業への経営資源集中
 2003年4月1/3出資33.4% 2006年5月子会社化 ギャバン(香辛料)
 2006年完全子会社化 香港アモイフードグループ(調味料 冷色)
 2007年3月1/3出資33.4% ヤマキ(削り節 めんつゆ)
 1999年 半導体基板用樹脂 ABFと呼ばれる樹脂で世界順位1位 特に絶縁フィルムABF。世界シェア9割 アミノ酸由来のものでは味の素に比較優位で利益率高い。
 
 味の素 冷凍食品 自宅で食事をとる内食傾向(合わせ調味料 自然解凍で食べられる冷凍食品好調) 主力工場建て替え(2014年9月までに) 冷凍デザート 少子高齢化に対応した新商品の生産を予定
国内で目立つのは単身世帯用需要(シニア 単身世帯 単身世帯は全体の3割超える コンビニの利用客の2割がシニア) 一人前ニーズ(包装かさみ 単価を上げても利益率低いことが問題)
味の素 新興国市場 小容量 現地の卸業者任せにせず営業マンが足で売る 低価格販売で需要堀り起こし。
 ブラジルでは日清食品と組んで即席めん事業(同国首位)。2013年12月 味の素と東洋水産はインド(日本の8割に相当する年44億食を消費。過去3年の平均成長率は22%)とナイジェリアで即席めん事業に共同で取り組むと発表。
 米国で冷凍食品事業強化のためウオルマートと組んだこと(2011年9月)をほうふつさせる。
  ウオルマートのルートの活用例。キッコーマン。米国の家庭用しょうゆの6割を占める一因。
  東洋水産。日清食品と米国進出で後れをとったがウオルマートと組むことで、米国で6割メキシコで8割。花王は中国都市部への進出は300のウオルマート店舗を活用した(2011年9月)。
  タイで1993年からカンコーヒー生産。2011年度シェアは7割。
  ペルーでは即席めん。2012年の同国シェアは9割。ブラジルでも即席めん(日清食品との合同事業)で6割のシェア。
 

 穀物高(大豆 小麦粉 2010年から2011年夏 11年夏以降は下落局面)円安(2013年後半から)は原料費(アルカリ 酸 食料油 輸入冷凍食品 カツオ 天然ガス)押し上げの逆風。コスト高を技術改良 効率化で補う。海外事業の収益。海外法人では外国人取締役比率を引き上げ(2012年1月の35%を2013年度までに50%に引き上げる)。営業、製造だけでなく経営企画、財務、マーケテイング、研究開発など中枢にも。他国派遣、本社への起用などを通じ帰属意識高める。(トヨタ 海外法人の幹部ポストの半分は外国人。パンソニックの海外法人の2割のトップは外国人)
 2014年4月からはエジプトに包装工場稼働。ブラジルで製造した調味料を運んで小分け包装。訪問営業開始とのこと。

食品では高い注目浴びる カルビー(2013年12月) 野心的なスナック菓子首位メーカー
従来は儲けに無頓着なオーナー経営とされてきたが、外部から松本晃氏を2009年に招いて以来(会長兼CEO)、評価が変わってきた。
 松本氏はつぎつぎと改革を実行した。材料調達一本化(本社に購買部門)。設備投資の基準(①顧客の安全安心②新商品などで売り上げ増③コスト削減④労働環境の改善 のいずれかを満たすこと)鮮度調査隊廃止し営業要員に(2011年)。不採算ライン廃止。経費削減以上の販売促進費積み上げ 値下げでシェアアップを達成(ポテトチップスで65%程度 2011-12年)。工場稼働率引き上げで値下げへ。さらにシェア上昇。
 国内スナック菓子で国内シェア3分の2以上が目標。さらに海外売上高(12年3月4%)を2021年3月までに3割に高める目標掲げる。
 2011年3月 東証一部上場(海外展開に必要な資金確保 経営と所有の分離 女性と障害者雇用 従業員の多様化 全社員が夢の共有 日本のネスレを目指す)
 工場というのは稼働率があがるとコストが劇的に下がるもの。コストが下がった分はまずお客さんにお返ししようと値下げしました。
 2009年海外事業強化のためペプシコから2割出資受ける。北米で共同事業展開へ(卸値の3-4割をペプシコがとる。しかし安いジャガイモ調達ルートの確保 生産の自動化で営業利益率10%狙えるまでに)。
 中国では康師傳Gと組んで事業展開。ベトナムやインドネシアでも販売力のある現地企業と組む計画。
食品の中では高い株価(PER27倍 平均は16倍 2012年12月)
 2013年4月から中国で「ジャガビー」などを製造販売。
2013年6月30日 株式を1株を4株に株式分割。
 2014年3月からインドネシアでスナック菓子を製造販売。

伊藤園
伊藤園は困っているようにも見えるが、主力の日本茶(おーいお茶)が強いほか(売り上げの半分以上は日本茶)、野菜飲料(野菜汁や果汁原料は海外から)、2011年5月買収のチチヤスと共同開発の「朝のYoo」が好調。子会社タリーズ(2006年買収)も増益基調。2009年にはタリーズブランドのコーヒー飲料の発売を開始した。これがブランド効果を上げてその後も好調だった。
 円安による原材料費や包装費の高騰に対して軽量ボトルへの移行進めている(軽量ペットはコスト軽減 輸送コスト軽減に幅広いメリットがある)。伊藤園ではこれを委託生産しているが、飲料メーカーによっては内製を進めている(事例 サントリー食品が天然水のペットボトル内製化)。内製するとコストがコストが半減するという。
 日本茶ではおーいお茶(伊藤園)、十六茶(アサヒ飲料)、伊右衛門(サントリー食品インター)、生茶(キリンビバレッジ)、綾鷹(コカコーラ)。高齢化で市場の縮小に向かうのか。健康志向でなお成長するかは微妙。限られた市場で顧客を奪い合う構図。

 こうした清涼飲料強化の動きは他社も同様でサントリーは2009年9月にニチレイからアセロラ事業買収。
 なおアサヒグループHDの2012年12月期の売上高は1兆5800億円 営業利益は1080億円 純利益は650億円の見通し(2012/12)。(酒類事業に区分されるが、ノンアルコールビールも好調 キリンフリーの発売開始は2009年4月。アサヒのドライゼロの発売開始は2012年2月)

サッポロ
 サッポロは2010年11月に乳業大手の協同乳業と業務資本提携(2011年に乳製品事業に参入予定)。続いて2011年2月にポッカ(2005年12月MBOにより上場廃止。2008年1月明治製菓の出資受入。2009年9月にサッポロと資本業務提携 サッポロの3倍の自動販売機網を持つ)を買収子会社化した(320億円)。2010年12月に長年 サッポロを苦しめてきたスティールパートナーズがサッポロの投資から撤退(アクティビストファンドの撤退は日本株の魅力が薄れた証拠という言い方は米証券会社のもの 日本の側からみれば本来の経営にようやく注力できる )。ようやくサッポロも動き始めたといえる。
 サッポロの注目される次の動きは2012年春(3月1日)、グループで運営するエビスガーデンプレイスの不動産について、2008年にモルガンスタンレーに売却した共同持分を405億円かけて買い戻したこと。また2012年秋、セブンイレブンと組んで業界初のPBビール(最後の聖域とされていた)「セブンプレミアム」の製造を始めたことだ。メーカーにとってPBを製造する利点は、工場の稼働率の上昇(製造コストの低下)、買い取り制のため広告宣伝費不要で安定収益となる(売上が増加する)ことなど、少なくない。小売り側は、他店との差別化に役立つことであろうか。今後は安売りしないで済む付加価値の高いPBが課題という指摘もある(こうした聖域を破る戦略がサッポロのような下位メーカーからでてきたのは示唆的である)。
 なお実は、この問題に先行したのはイオンのPBビール、バーリアルの発売(2010年6月)。1缶88円と100円以下。内容は韓国OBビール。確かにこの輸入ビールの衝撃の方が大きかったかもしれない。
現在350ml缶ビールのコンビニでの価格は215円(ネット価格は195円など)。セブンプレミアム100%MALT350mlの価格は198円。

 2006年にカナダのビール大手スリーマンを買収

 2011 ポッカコーポレーション(1977にシンガポール進出)買収

 2012年1月末 米飲料メーカー シルバースプリングシトラスの株式51%を豊田通商から2400万ドルで取得

 2012年4月 ポッカCとサッポロ飲料の統合にむけて新会社設立→統合 2013年1月 ポッカサッポロフードビバレッジ

 2014年に米飲料メーカー 北米の果汁飲料メーカー カントリーピュアフーズオハイオ州CPF)を1億ドルで買収 2016年にはCPFを通じて北米の氷菓メーカーリッジフィールズ買収 

 2014年8月 ポッカサッポロフードビバレッジ 2015年にもミャンマーで自社ブランド商品をヲライセンス生産へ

originally appeared in July 26, 2011
corrected in April 15, 2016

キリンビールのM&A戦略
ビジネスモデル 企業戦略論

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