Entrance for Studies in Finance

イスラエルによる救援船急襲で死者(2010年5月31日)

 2010年5月31日未明。ガザに向けて公海上を航行していた救援船団をイスラエルが急襲して多数の死傷者がでた。イスラエル軍は空からヘリで部隊を下ろした(救援船とのやりとりがあったかなどは不明)。これに対して金属棒などで抵抗を受けたとして発砲に至った模様(経緯はわかっていない。以上はイスラエル軍の発表による)。
 しかし武装した正規軍が力づくで銃を発砲して船団を制圧し拘束したことと、救援船側が銃火器で応じていないことも公開映像で明らかである。公海上を走行する船を急襲して多数の死者を出し、拿捕したのは無茶苦茶な行為で許されることではない。
 そもそも国際的救援船が出たのは、ガザに対するイスラエルの徹底した封鎖がほぼ3年続いていることでガザが疲弊していることへの義憤が背景にある。公海上で多数の人々を捕捉し拘禁したことにも問題がある。国際的ルールや人道を考慮しないイスラエル政府の暴力行為は大変残念であり、その存続の正当性を疑わせるものだ。
 2010年6月5日再度の救援船拿捕が生じた。今回は双方に暴力行為は生じなかった。イスラエル側は警告・説得後、許可を得て船から乗船し拿捕した。 
Gaza's tunnel smugglers, Jan.7, 2009 BBC
ユニセフによる現地報告 2010年1月28日
Egypt responsibilities for killing 4 Palestinians April, 2010,Al Jazeerahエジプトとガザを結ぶトンネルでエジプト側から有毒ガスが送り込まれた問題でエジプト政府が非難されている。
BBCによる報道2010年5月31日
イスラエル軍のよる反論 2010年5月31日 BBC
イスラエルによる公海上の武力行使に関する欧州連合代表による非難声明 2010年5月31日
国連安全保障理事会がイスラエル非難決議 2010年6月1日 CNN 国連安全保障理事会は今回の事件を非難する議長声明を5月31日に全理事会国15ケ国の賛成で採択した。
World condemns Israel, AlJazeera English, May 31, 2010
イスラエルと救援船が衝突 朝日新聞 2010年6月1日 この朝日の記事は見出しは、イスラエルが襲ったというニュアンスを避けて両者がぶつかった「衝突」という表現にしている(イスラエル寄りの見出しにしている)。積んでいた荷物はセメントや医療機器などだったとしている。
毎日新聞2010年6月1日このエルサレム電では2005年以降、8回救援船は出てうち5回は上陸できている。しかし2008年以降は成功していない。またイスラエルが規制しているセメントはトンネル経由の密輸に頼っているが量が不十分で値段が高騰している。
トルコ政府の対応 旅団は貨物船・旅客船6隻約700人 死者はトルコ人中心に少なくとも10人 負傷者は31人 毎日新聞2010年6月1日
ガザ封鎖は逆効果 News Week 2010年6月1日ワシントン発の記事は、ガザ封鎖後の空爆により、2008-2009年にガザのインフラを破壊したことがガザからのロケット攻撃抑制にはつながったこと、イスラエルがロケットの材料になることを理由として、セメント化学肥料の搬入を阻止していること、またなぜかチョコレート、アボガドなども贅沢品として搬入を阻止していること、エジプトとガザの間の無数の地下トンネルが存在し、そこを通る物資への課税がハマスの財源になっているなどイスラエル側の主張を展開している(表面的にはイスラエルに批判的だが、実際にはイスラエルの言い分をつたえる記事。しかし地下トンネルが十分機能するなら、ガザが物資に困ることはないはずでこの記事には矛盾がある)セメントなどが爆薬の材料になるのは事実だが、空爆などで破壊する一方で復興の資材を与えないのは相手を苦しめるだけで憎悪の感情がのこるだけだ。日常物資で武器の材料になるものは無限にあるともいえる。さまざまな商品の搬入阻止は憎しみの気持ちだけをかきたてるものだ。
エジプト政府がガザ封鎖について人道的目的で一部緩和したとの報道 MSNBC June 2, 2010 エジプト政府はガザ封鎖に協力する立場にあるが今回の事件を受けて封鎖を限定的に緩和する決定をおこなった。またイスラエルは拘束した700人の多くを解放する予定とした。
マレーシア政府の対応 マレーシア人の無事は確認 2010年6月3日
国連事務総長がガザの封鎖解除求める 東京新聞2010年6月3日 国連のバンキムン事務総長は今回の事件について、ガザの封鎖が逆効果になっているとして封鎖の即時解除を6月2日求めた。
Activists discribe Israel raid, June 3, 2010 BBC 救援船に乗船していた人々の証言 船団に武器がなかったこと 今回のイスラエル軍の行為が一方的な虐殺で抵抗する者を鎮圧するといった行為とかけ離れており、抵抗していない人々に発砲を続け殺害したことなどが述べられている(ヘリから降りたのは特殊部隊だろうか。全員が覆面していたとされる。他方、殺害された人々には医者やジャーナリストなど冷静であるはずの人々が含まれている。)



名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Politics」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事