ブルジュドバイ(高さ800m 世界最高のタワー 建設中)
パームアイランド(ヤシの木の形の人工島)
パームジュメラ(同上 大成建設 清水建設が参加)
ドバイメトロ(無人運転の都市交通システム 鹿島、大林組、三菱重工業、三菱商事が企業連合で受注)
このことで改めて、中東の発展にしても、原油価格の上昇はあるにしても、中東に世界のお金が集まることで加速していたことが見える。つまり世界のお金の流れに左右されるのは、オイルマネーに潤っていた中東も同じなのだ。とくにドバイは産油量も少ないため、資金を引き入れて成長。
政府不動産大手2社(アムラック、タムウイール)の資金繰りの悪化も明らかにされ、政府系金融機関2社を統合して新設する新銀行の傘下に収めて資本注入する救済策も明らかにした。
湾岸産油国では総額で2兆ドルを超える開発事業が進行中。その中でドバイを中心とするアラブ首長国連邦でのものがおよそ半分を占めている。ところが金融危機の進展により、金融機関が新規融資に慎重になり、大型事業の凍結・見直しが不可避になっている。背景には原油価格急落もあるとみてよいだろう。
新たな金融センターとして、大規模開発が進んで注目を集めてきたドバイの今後に、不安の声が出ている。中東の金融センターとしてはもともとはレバノンのベイルートがあり、やがて1970年代にレバノンが内戦で衰えるとバーレーンが金融センターとして発展するようになった。しかしその後、近年、ドバイが急速に発展するようになった。
ドバイは石油資源枯渇後に備え金融立国を目指しているとされている。しかしその経済発展にはいくつかの障害が見えてきている。2008年金融特区であるドバイ国際金融センターDIFC(2004-)の発展を目指しているが、アメリカは金融特区以外の金融市場開放を求めている。これに備えて国内の金融業の育成強化が求められている。国内ではまた、2007年で11%(UAE)というカタールの13%に次ぐ湾岸諸国の中で突出したインフレになっており、資材や人件費が高騰している。さらにドバイに限られないことかもしれないが、不動産取引をめぐる収賄など取引に関する不正のうわさも絶えないなど非近代的なところが社会に残っている。
ドバイに近い、カタール(2005-)、バーレーン(2006-)もそれぞれ湾岸の金融センターを目指しているが、バーレーンが物価の安定(3%台)やイスラム金融に関するノウハウの蓄積などの面で注目されるようになってきている。このような競合を意識する必要もある。
税制面でもバーレーンは外資企業に対して石油企業を除き非課税という政策を取っている。湾岸諸国で同様のスタンスの国がドバイを含むアラブ首長国連邦で、石油企業や銀行を除き非課税。これに対して、オマーン(原則12%)、クエート(一律15% 07末に従来の最大55%から一気に下げたもの)、サウジ(原則20%)、カタール(最大35%)となっている(2008年6月末現在)。なおいずれの国も地元資本に対しては非課税か低税率。
このような企業税制政策の結果、中東湾岸諸国の政府財政は悪化する一方、非課税の特定の湾岸国に外資が集まる構造となっている。政府財政の健全化をどのように図るかも課題になっている。
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
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