Entrance for Studies in Finance

パソコン(ミニノート)の低価格化

2007年10月に台湾のアスース(華碩電脳)が世界初めての200ドル台パソコン「EPC」として発売。その後、台湾のエイサー(宏碁)が08年7月にAspire Oneの発売を開始。米国のデル(Inspiron Mini 9 08年9月発売開始)、HP(HPミニ1000 08年10月発売開始)も相次いで参入。08年9月にはノートパソコン市場の2割を占めるまでに成長した。

08年7月にはアスースの小型パソコンとデータ通信用カード端末がセットで100円で家電量販店などで販売が開始された。これはイーモバイルとの2年契約を条件にデータ通信の料金を高く設定することで、初期費用を抑えたもの。しかしそうだとしても100円パソコンは画期的で注目できる。

景況の悪化にもかかわらず依然として高額品路線の国内メーカーはこの動きに乗り遅れた。この路線選択上の初動における誤りは国内メーカーが、内外でシェアを失い失速する要因になる可能性がある。それは規模がローコスト化の決め手になるからだ。国内メーカーは戦略を修正、東芝が2008年10月下旬に発売開始予定。富士通も2008年秋に中国・香港、続いて2009年にも日本国内で発売開始予定としている。
松下やソニー、NECなどそのほかのメーカーが今後どう動くに注目されたが、08年10月末までに、デル、HP、東芝、NEC、エイサーなどは低価格モデルを投入。価格帯は6万以下、メモリーにフラッシュを使うものは3万台にまで下がった。この結果売れ筋の価格帯は5万円前後に下がったとされる。08年11月に入ると、従来は10万円前後していた、記憶装置などの機能の高い上位機種が6万円前後に値下げされるようになった。

コンセプト:先進国では市場の飽和を前提に2台目需要を狙い、機能を絞って従来品の半額以下の価格設定(ウルトラローコストパソコン)。
ネットブックとも呼ばれる。
標準設計はデイスプレイ8.9型(いわゆるB5サイズ 超小型ノートパソコン)。重さ1キロ前後。バッテリー駆動時間3時間前後。デルとアスースは記憶装置はフラッシュメモリー。東芝、HP、台湾エイサー(宏碁)はHDD。メモリーは1GBあるいはその半分の512MB。ネット端末の機能に特化。
多くはCPUに低価格PC向けインテル製アトムを採用(高額機種向けの5分の1)
基本ソフトにウインドウズビスタ、XPを採用するも文書作成機能や表計算などのソフトはつけない。
→メモリーが小さいので動画配信利用や複雑な文書作成には限界。外出先でのメール確認には便利。

背景:半導体など部品価格の低下(同時不況の影響も)。ネットの広がり、ネット上のソフト提供などソフトの使い方の変化。

発展途上国のための100㌦パソコン提言OLPC:One Laptop per Child(提唱者 2005年に米国MITのニコラス・ネグロポンテ教授)とも対応。

低価格の小型ノートパソコンが伸びただけでなく、従来サイズのノートPCの重要がシフトしたと考えられている。この結果、市場が金額規模では伸びなくなる。数量面、価格面の両面で部品メーカーが直撃される。出荷台数の伸びにもかかわらず、ノートパソコン市場が不況に陥る可能性がある。(参照 杉下亮太「台湾発の低価格小型パソコンネットブックの価格破壊力」『エコノミスト』2008/12/23, 80-81)

エイサーの躍進
タタ自動車の低価格自動車戦略と農民の反乱
財務管理論講義 個別の論点を展開
現代東アジア論講義 東アジア情勢を分析
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. 
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