Entrance for Studies in Finance

SSDかHDDか

フラッシュメモリーを記憶媒体に使うSSD(solid state drive)がHDD(hard disk drive)の代替品として注目されている。
HDDに比べて対衝撃性が高く、消費電力が低く、データの読み出しが早いとされる。書き換え回数(寿命)に問題があるとされるが一般的な使用上は問題がないともされる。

SSD vs HHD

SSD
容量と価格が問題だとされている。SSDは数個から数十個のフラッシュを搭載。フラッシュ生産メーカーではフラッシュの需要を高める効果と量産による価格低下効果を期待している。
SSDは大容量化はどこまで進んでいるのか。サムソン電子は256メガバイトのSSDを開発しているとされるが、東芝も2008年12月18日に2009年4-6月期にも従来の2倍の512ギガバイトの新製品の量産を始めるとした。もっとも512ギガバイトが、現在のNAND型フラッシュでのSSDの限界だとされている。しかし08年12月17日にアメリカでのIEDM(半導体に関する国際学会)で東芝が発表したところでは、現状の6倍200ギガバイトのフラッシュを実現する基本素子の作成に東芝は成功。2014年にも実現する。
国内メーカーではこのように東芝の先行がうかがえるが、08年12月2日には日立がインテルと組んでSSDに参入することを表明している。
SSDはモータなどの駆動部分がないため、HDDに比べ衝撃に強く使用電力も少ない。コンピューターやデジタル家電での普及が進むと期待されている。東芝が企業向け製品を2011年にも投入予定(N100228)。新型のフラッシュメモリーを使い、長寿命化、書き込み読み出し速度も速める。

HDD
ところでデータ保存の基幹装置とされるHDDは大容量化と低価格化が急速に進行した(04 60ギガ110ドル;05 80ギガ100ドル;06末 120ギガ80ドル;07 160ギガ80ドル;08 250ギガ80ドル )。ノートPC用HDDが120-250ギガバイトに対して、普及型フラッシュは8-12ギガバイトだとされる。
同様の大容量化と低価格化はNAND型フラッシュでもみられる(05/10 8ギガ36ドル;06/10 8ギガ10ドル;08/01 16ギガ8ドル;08/07 16ギガ5ドル)。
HDDの出荷(世界)は2009年4-6月期から急回復。2009年は5億5507万枚(うち15%8000万枚ほどはテレビや録画再生機向け)。2010年の6億1965万枚と予測される(N091202)。HDD価格には底打ち感がある。
米ウエスタンデジタル、米シーゲート、日立(HGST日立グローバルストレージテクノロジーズ)などが大手。部材メーカーに日本電産(モーター)、TDK(磁気ヘッド)、昭和電工(磁気ディスク)、HOYA(ガラス基板)など。

DRAM
 DRAMの価格は生産調整や継起的な需要拡大があり、一様に下落ではない。たとえば05年12月から06年3月にかけて1.5倍程度跳ね上がっている。07年から08年にかけては85%下落だが、08年1月から6月末にかけては1ギガビットの複合モジュールが17ドルから22ドル近くまで値を上げている。その後はしかし再び値下がり。08年11月にはほぼ年当初の半値になっている。もともとの採算ラインからすれば24ドルに入って黒字とされる。しかしDRAM価格は2009年年頭を底に回復をはじめ2009年秋口には採算ラインを回復した。
10月にはWindows 7の販売が開始。ネットブックさらにスマートフォン向け需要が拡大。パソコン向け比率は減少。新興国向けデジタル家電向け需要も拡大。パソコンメーカーのDRAM在庫は減少。2009年後半から急上昇。1ギガビット単品(DDR3 スポット)が2.1ドル台から3ドル超えまで。大口需要家向けも1.8ドルが2.6ドル台まで上昇した(09年9月ー2010年3月)。
回路幅より小さく(微細化)してコスト圧縮。歩留まりの改善でコスト圧縮。
DRAM最大手(2009年1-3月期)が韓国サムソン電子。2位は韓国ハイニックス半導体。3位にエルピーダ。4位に米マイクロテクノロジー。5位台湾南亜科技。米HP、米インテル、台湾エイサー、台湾アスース(華碩電脳)、中国レノボ。DRAM生産する半導体メーカーは好業績。パソコンメーカーは製品の低価格化もあり採算悪化(DRAMはPC原価で1割が限界との説がある)。
 なおエルピーダは台湾に深く食い込んでいる。技術提供・生産委託している台湾力晶半導体と合弁で端晶電子を2007年に設立(52%出資)。台湾政府が主導した台湾創新メモリー(TiMC)とは2009年4月技術提携。2009年内に端晶電子への出資比率を7割超に引き上げたほか、2009年11月には台湾茂徳科技、台湾華邦電子と相次いで業務提携。韓国陣営との対抗できる布陣の形成を急いでいる。

MRAM
なお次世代メモリーの本命とされてきたのはMRAM(磁気記録式メモリー)。電源を切っても情報が消失せず、高速で情報が読み取れ、かつ寿命が長いとされる。デジタル家電に採用されているシステムLSIのメモリー部分のSRAMに代替して省電力化に貢献するとみられる。
現在は大変容量が小さい(06-07年の製品は数メガビット程度)が大容量化すれば既存メモリーに置き換わるとされる。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Dec.28, 2008.
Corrected and reposted in May 2, 2010.

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