Entrance for Studies in Finance

長谷川貴博『AI化する銀行』幻冬舎, 2017


著者は東北大大学院で数学で学び富士通に入社。金融系のシステム開発に参加。京大MBAで金融工学を学び、アナリストの経験もある。ただ本書の中身はあまり言葉を要しない。金融業界で確実にAI(artificial intelligence)化が進むことについて強いメッセージを送っている。ここでは最初のトレーディングのところをみてゆく。とくに理由付けの分析のところは説得的(写真は増上寺山門より本堂、東京タワーを望む。2020年3月9日)。

2017年1月のゴールドマンサックスCFOの発言。2000年に600人いたトレーダーが現在はわずか2人になり、日々の作業は200人のITエンジニアが運用するロボットトレーダーに置き換わっている。つまりトレーダーの数は300分の1に。トレーデイングに関わる人員は3分の1に削減された。

AIの利用が加速する理由を5点あげている。
1)大量のデータを解析することで利益の上がる業務に向いている
2)高度の専門性が要求され、利益額の大きい業務。単純業務。いずれも人件費がかかるため。
3)人間では時間がかかる上に完璧にはこなせない業務に向いている
4)属人性を排除したい業務(均質化・情報の共有)に向いている
5)少子高齢化による人手不足への対応

AIの強み(リベリオンリサーチによる)は3点
1)圧倒的なリサーチ力 広範な地域の膨大な情報を24時間
2)メンタルが強い 感情に左右されない
3)低コスト

ヘッジファンドでAI活用が進んだ理由を5点
1)属人性に左右されない成功確率と高い再現性
2)すでにクオンツ運用があるが、大量のデータを瞬時に解析して判断することで、ファンドマネージャーの限界を乗り越える必要があり、実際にAIを活用するヘッジファンドが高いリターンを実現。
3)コストの削減
4)能力が高いトレーダーがやってること(高い情報収集能力と分析能力。売買のパターンをよく知っている。)はAIに置き換え可能。人間のトレーダーがすることを模倣させることが可能でそれをさせている。
5)HFT 極めて短い時間に自動的に株式の売買をする 一つ一つの取引は小額だが確実に利益を積み上げる・・・高い確率で利益を出せる(ここはAIが強い) 2012年でアメリカでは6割 日本でも3-4割 ここはロボットトレーダーの独壇場 反面性能競争になり確実に利益が出るとも言い難くなっている
 HFTに対する規制のあり方(芳賀良 2019/11)
    高頻度取引ー競争と規制(2019/05/08)
    高頻度取引とは何か(2019/04/13)   アルゴリズム取引≠HFT
   日本における高速度取引の現状(2017)
    高速取引規制(大和総研G 2017/06/22)
 取引の高速度化(金融庁事務局作成資料 2016/05/13)

以下 不正防止や接客など 様々な面でのAIの活用が議論されている

オンプレミス クラウドの反対に企業が自前でコンピュタールームやデータセンターなどを用意すること。構築コストは高いが、 設計の変更が容易であること、情報セキュリティを厳格にできることなどのメリットがあるとされる。

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