Entrance for Studies in Finance

Case Study on Panasonic パナソニック

Panasonicは大きな赤字を出して リストラを進めた。自動車 住宅関連へのシフトすることで B to CからB to Bへのシフトを図ったことは有名。赤字を同じく出したソニーより改革が早く進展していて、14年3月期には黒字転換した。赤字を同じく出したソニーより改革が早く進展していて、14年3月期には黒字転換した。

B to B事業で量販店が価格決定権を持つ家電業界に比べて値崩れしにくいとされている その意味ではビジネスをB to CからB to Bに切り替えたことは有名。またさらにその背景にはIoT (or iot ; internet of things)の動きがある。また自動車の電子化、エレクトロニクス化といわれるように自動車や電子部品を使う時代がきている。自動車については自動運転車の問題が見落とせないし、住宅についても、たとえばITを活用してエネルギー使用の最適化を図る動きがある。

特許資産規模では国内企業首位を続けている。

20123月期から2期連続で7500億円超の赤字から、20153月期(純利益1794億円) 20163月期(1932億円)と増益基調で経営不振からの脱却をはたした(2016年4月段階)。2012年6月から津賀一宏社長のもとで構造改革進む。不採算事業からの撤退。余剰人員は配点職種転換。事業構成の組み換え進める。借入を減らして実質無借金化(2016年3月期)。2019年3月期の目標売上高10兆円自動車住宅関連が4兆円 家電は2兆円(2015年2月段階)。家電から 住宅・自動車…企業向けビジネスB to Bを成長の柱に転換。東南アジア向け事業を高級機種で強化し、サムソン電子・LG電子を追撃。2017年3月期からIFRS移行へ。

津賀一宏氏(専務)の社長就任(2012年6月) リストラに取り組む 
  プラズマTVからの撤退 半導体工場の売却 など 

プラズマなど不採算事業から撤退 住宅や自動車など安定収入に力を入れている。住宅建材、配線器具、車載機器が堅調。リストラ効果で家電事業の採算が改善。ネットキャッシュは2015年3月期末には6期ぶりにプラス1000億円前後に転じる見込み(2014年5月)

143月期 3期ぶりの黒字となったのは、不採算事業からの撤退切り離しと合理化効果が出たと思われる。しかし積極投資したテレビや半導体で採算が悪化しているのは皮肉といえる。家電では、他社も同様だがシニア向け(小さく軽くゼイタク)、美容家電の開発、音響ではハイレゾ(高解像度)商品に取り組んでいる。

分散型に事業構造を変える そのため 20134月事業部制を12年ぶりに復活。43ある事業部ごとに貸借対照表割り当てる内部資本金制度導入 CFの改善 5%の営業利益目標。CF計画とのかい離には改善計画策定させる。3年間で大きな減損リスクを抱える資産はなくなり 営業利益3000億円を安定的に稼ぐ体制。設備投資2500億円水準 FCF黒字傾向続く。自己資本比率40%への早期回復目指す。20153月期 6期ぶりcash rich=実質無借金に復帰へ

人事賃金改革も手を付ける。年功制度の廃止。職能等級から役割等級へ。グループチーム制から14年ぶりに部課制に戻すなど。グローバル人材の確保のためにも必要(2014年10月から2015年4月にかけて実施)。調達会社設立して(15年4月)部品資材調達1本化 コスト引き下げ図る。201410月より年功賃金廃止 役職 成果 手当 総人件費圧縮 13年ぶりに部課長制復活で責任 権限の明確化 年功要素廃止の動きはソニーでも進む。Gマネージャー チームリーダー原則廃止

  プラズマパネル事業(5000億円かけて尼崎市内にプラズマパネル工場を作り稼動させたが(2010年)すでに撤退 2013年末生産終了 3工場は売却へ2015-2016) 半導体工場の売却(2013-2014)など 

 テレビ事業ではシェアを追わず 商品顧客地域を絞って生き残る(中国 メキシコで生産から撤退:2014年1月→北米と中国で赤字が大きい) 国内ではデジタル放送への移行に伴う買い替え需要後の急減が大きな影響を与えた 2011年7月で東北3県を除く44都道府県でアナログ放送が終了 翌2012年3月 東北放送でも終了した。

 テレビ事業は高価格帯シフト 生産委託増やす 例 TCL集団:東芝 ソニー パナソニックから受託

 中国事業においても家庭用から業務用(コンビニの冷凍庫 冷蔵棚 さらに監視カメラや 大型電子レンジ LED照明 エアコンなど)にシフト 生産面でも自動化進める・・・日本国内と似た戦略(2015年11月 2015年2月 山東省の工場を閉め中国でのテレビ自社生産から撤退)

  ベトナムでつぎつぎに工場を稼働 冷蔵庫 洗濯機 プリント基板工場など(2012年稼動 他方でベトナムで首位の三洋電機の冷蔵庫 洗濯機事業をハイアールに売却する矛盾した行動もとっている パナソニックは東芝に次ぎ3位 2010年)

  空調 連結売上高3122億円(14年3月期) 国内家庭向けではシェア1位ながら収益上営業損益は105億円赤字 で体質改善必要

 成長分野とする自動車関連・産業機器部門は好調 リチウム電池(2012年パナソニック電工が三洋電機を完全子会社化 テスラと共同で電池工場を建設 2017年発売のテスラの普及モデルに独占供給へ)やカーナビ伸びる ADAS(先進運転支援システム)事業の取り込み 次世代画像センサー開発進める(ソニーが世界シェア4割握る パナソニックは開発で追う立場)

 デジカメ生産 2015年春をめどに 高級機以外は中国に移管(2015年1月)。

 航空機内の娯楽システム:アビオニクス事業 高精度監視カメラシステム(顔認証技術・・・暗証不要化の入退館システムも)など伸びる

 テレビ会議システム

 大型蓄電システムは伸びるが 太陽光発電システムは減収 

  家電の中で成長が見込める美容関連家電の強化(2015年度売上高2000億円規模)…・住宅との融合 白物家電の強化 住空間との一体化 ビルトインキッチン機器の強化

 住宅子会社のパナホームと一体で(18年度に住宅分野で2兆円 戸建てマンションの施工販売 リフォーム 海外で配線器具など住宅設備 太陽電池やエネルギー管理システム サービス付き高齢者住宅) 拡販はアジアなど海外でもすすめる

 介護ビジネスの拡大(2014年度売上が200億円 これを25年度に売上高2000億円目標)

 2014年3月 パナソニックヘルスケア(医療機器事業)をKKRに1500億円で売却 その後人材派遣事業をテンプHDに100億円規模で売却 など非中核事業を売却 財務改善につなげる

 2014年4月 国内家電事業組織 別会社化していた営業部門を一体化

 2013年11月 携帯向け回路基板事業からの撤退を発表(国内2工場のほかベトナム、台湾でも生産終了):大口顧客獲得できず 生産海外移転するも黒字化困難

 2013年5月 米国での太陽電池材料のシリコンウエハー生産から撤退へ(6月末で生産終了) マレーシアに集約して生き残り目指す(中国企業との価格競争厳しい)

 2013年3月 三洋電機のデジカメ事業を投資会社に売却

 2012年1月 保有するJVCケンウッドの株をほぼすべて売却 資本関係解消へ

 2011年12月 長年持合い関係にある ダイキン工業 小糸製作所の株を一部売却

工場ではITシステムを導入して 効率を高めた「スマート工場」を目指す データを解析して不良品の発生要因の特定に生かす 作業員にウェアラブルカメラを装着させて品質改善に役立てる 生産ラインの最適化を図る など EMSだけでなく 自社工場でもモノづくりの底上げを図る 2016年3月期から取り組み始める 在庫回転日数 固定費比率など業績評価指標(モノづくりKPI)の改善目指す 内外工場で生産ラインの自動化なども まず国内工場それから海外へ

BtoBへの転換の先例とされるのがオランダのフィリップス(2000年の売り上げ構成 家電44% 半導体16% 照明13% 部品12% 医療機器8%)。1990年代まで日本の家電メーカーにとりAV市場で最強の相手だったフィリップスは、高齢化社会をにらんで医療機器事業で大型買収を行い、2012年の売り上げ構成は医療機器41% 照明35% 家電24%となり現在ではAV機器からほぼ撤退 AV機器ではブランド供与(テレビ事業⇒台湾のTPVTとの合弁 携帯電話⇒中国企業 AV事業⇒船井電機)が中心。 他方、液晶パネル事業は韓国LGと合弁ではじめ持ち株をLGに売って撤退、半導体は2006年に分社、2010年に全株売却撤退した。こうした組み換えの結果、フィリップスは法人向け事業が売上の7割を占める企業に変貌している。最近2014年9月にフィリップスはLED化によって収益性が悪化した照明部門の分離を決めた。フィリプスは電球ソケット会社として始まっているため、この決断は祖業をも分離するものとして注目された。

Panasonicが2011-2012年と巨額赤字を抱えた直接の原因は三洋電機 旧パナソニック電工の買収 さらに大型パネルへの大型投資といった巨額投資の連続による手元資金の枯渇である。このうち三洋電機への投資は電池事業という将来のためであったが、三洋の企業価値の低下というパンチとなってPanasonicを苦しめた。そして間接的背景は、テレビ、半導体などの赤字事業の存在だった。とくにプラズマパネル事業への巨額投資は豊かだったPanasonicの金庫の金の流出にしかならなかった。

三洋電機の買収(2008年12月 買収に8000億円 2011年完全子会社化 ところがその後三洋の企業価値が5000億低下 2013年3月期までの2年間で赤字1兆5000億円の一因になる)⇒その後 白物家電事業ヤデジカメ事業など重複部門の売却 人事削減 リチウム電池事業や太陽電池に絞り込む。三洋の人材は流出したとされる。2014年4月両社の人事を統一。数年かけて賃金水準や福利制度を統一。

2011年4月は旧パナソニック電工の買収も重なり(両社を完全子会社)手元資金は急減。さらに薄型パネルへの大型投資。そして業績悪化で2012年9月期末に手元資金が1兆877億円マイナスとなった(手元資金から有利子負債を引いたネットキャッシュは2013年3月末で2012年3月期末で9620億円のマイナス)。このときS&PからはトリプルBの格付けをつけられた。事業のうちテレビ、半導体など課題7事業については最終赤字幅縮小。デジカメ、エアコン、携帯の3事業は営業黒字に転換。回路、光ピックは赤字幅縮小。運転資金の圧縮 在庫削減 遊休不動産や非中核事業の売却 有利子負債削減。2015年3月期で実質無借金目指す。格付けではA格(海外でM&Aができる財務)を目指す。自己資本比率は35%回復が目標(2014年3月ス末で29.7%)。この段階(2014年5月半ば)では2015年3月末で6年ぶりに実質無借金なる見込みとした。

20141 ①国際オリンピック委員会とのスポンサー契約を継続へ(2016年までをさらに4年) IOCと直接契約する最上位スポンサーを続けることに(1988年から 日本企業では同社だけ) 2020年の東京オリンピックにらむ
②東南アジアの半導体3工場を売却へ(2014年6月にシンガポールのUTACホールデイングスに116億円で売却)
     岡山工場は3月末で閉鎖
     中国の2工場は売却を検討

2014年3月 プラズマテレビの販売の終了
 2014年3月の3期ぶりの黒字転換を受けて役員報酬減額を解除 コスト削減+円安効果、事業売却収入ーリストラ経費(構造改革費用)
 2014年3月期 営業利益2900億円は前期比80%増。消費税前の駆け込み需要の恩恵
 事業売却のほか年金制度変更でも営業外収益
20144 リストラを継続 自動車など成長分野で攻めの経営へ 14年3月末従業員規模は27万1789人。2010年3月から11万減少。以下おおむね前期の決定事項。
 半導体の国内外主要事業を海外企業に売却
 プラズマテレビ事業から撤退
 テレビやオーデイオ事業を白物家電と同じ社内カンパニーに4月に移管
 国内の個人向けスマホ事業から撤退
 ヘルスケア会社(売上1200億円)を米投資ファンドに売却KKRに 1500億円(1650億円)で売却
 保有株不動産の処理を進め負債を削減する 物流事業を日本通運に譲渡
 システムLSI事業を富士通統合
 回路基板、光デイスク装置関連事業を縮小
 2019年3月期の売上高10兆円を目標 そのうち自動車住宅関連で4兆円
 2000年代初頭にも巨額赤字から立ち直った経験 その後薄型パネル巨額投資で再び赤字化を経験 
20145 ①有機ELデイスプレー(大型55型で100万程度 液晶パネルの3倍ほど製造費かさむ 発光する有機材料の使用で薄い特徴)の量産を2015年から2016年以降に先送りへ(背景 サムソン電子も投資凍結決定 量産コスト削減が難航 4Kテレビが値下がり30-40万) 有機EL商品化を凍結 4Kテレビの品ぞろえ充実へ 液晶テレビの高画質化 価格下落。2014年5月 50インチ以上の大型液晶テレビの販売で4Kのシェアが2割超え(ソニー5割超えで先行 東芝 パナソニック追う展開)。メーカー側は値崩れを警戒 半年で2割ほど値下がり。
②赤字のテレビ事業立て直し急ぐ 自社生産縮小 メキシコ工場の生産能力を6割減 タイ工場ではテレビ生産止めた 委託生産増やす。自社生産比率現在9割を7割程度まで引き下げ 黒字転換急ぐ 東芝ヤソニーはすでに3割程度まで落としている 赤字だが消費者向けのブランド価値が有るとの判断 販売量(薄型テレビ世界シェア2013/1-9は サムソン電子21.6% LG電子14.7 TCL6.4 ソニー5.8 ハイセンス4.7 パナソニック4.6の順) を追わず採算重視へ(価格競争できず数量での巻き返しも不可能 国際的には韓国勢敗北 デザインや機能を強調して高級家電として生き残り図る) 自社生産は4Kヘシフト(サムソンが有期ELパネル投資中断 ソニーが有機ELテレビ開発凍結 パナソニックが量産延期:有機ELテレビは当面延期 有機ELテレビハ自ら発光する有機材料をつかうので大幅に薄くでき画像が鮮明でくっきりしているとのこと) 

20146 ①茨木工場(かつてテレビ工場 2000年代にはいるとPパズルの一貫工場に。)を大和ハウス工業に売却。大和は物流施設を建設 ヤマトHDに賃貸しの方針。売却額は100億円前後。② 2014年秋以降 高齢者向け家電 国内で販売 スイッチの位置 開閉部 高級感のあるデザイン 小さく軽くぜいたく。
20147月 携帯電話基地局関連事業をノキアに売却へ。ノキアのシェアは26%で首位。パナソニックのノシェアは9%(2013年)。NEC 富士通に次ぎ国内メーカーでは第3位。売却額は数縦億円程度。売却時期は今年度末まで。同事業は海外勢との価格競争で採算悪化。パナソニックは自動車、住宅関連分野に経営資源を集中へ。
② 人材派遣会社(国内6位)を売却へ(G内外に事務系従業員を派遣 電子機器技術者派遣に強み) 2015年3月までに売却。
③ CATV(CATV受信機で国内6割のシェア 2016年に高画質4K放送開始 規格決定9月)の4K対応機を2015年春めどに発売 放送前倒し シェア7割へ上昇を見込む
④ 4Kに対応したコンパクトデジカメを発売(4K対応機種を増やす方針) デジカメ事業は2期連続赤字 スマホに押され販売低迷 高価格機種にシフト 機種絞り込み ミラーレス一眼に集中 レンズは自社生産に転換
20148 テスラと米国に大規模電池工場建設で合意 総投資額50億ドル規模とされパナソニックはすでにトヨタとともに出資もしている。大量生産により電池価格が下がるとEVの価格がガソリン車並みに下がりEVが一気に普及する可能性がある。
20149月末 ネットキャッシュ(手元資金ー有利子負債)が6期ぶりにプラスに転じるまで財務体質改善

20141017 4Kの液晶テレビ「ビエラ」7機種を発売。現在の5機種から12機種へ(4kでの出遅れを挽回 国内シェアup目指す 20%から25%が目標 買い替え需要本格化をにらむ 新製品投入でテレビ事業の早期黒字化目指す)。

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2013年3月期まで2期連続で7500億円の最終赤字計上 テレビ事業などが不振
 プラズマなど不採算事業からの撤退(13年末)尼崎第三工場を9月に不動産投資会社に売却、半導体工場も売却、利益が出ていても非中核事業は売却を徹底。 

201312 ①富士通との間でシステムLSI設計開発部門の14年1月統合で合意。    半導体事業再建のため岡山県と鹿児島の2工場を2014年度めどに閉鎖を決める(その後14年3月に閉鎖)。②富山 新潟の北陸3工場のイスラエル企業タワージャズへの売却で基本合意(大筋合意は11月。13年度中に分社 株式の51%を売却することで分離) 3工場はこれまでパナソニック向けの半導体生産が主力だったが、タワージャズが独自に販路を開拓することで工場の稼働率を維持改善できるとのこと。③国内生産の大幅な縮小急ぐ(背景 自社向け生産の減少で収益悪化) その後半導体部門の従業員を半減へ 半導体部門は韓国勢との競争で赤字の原因になっていた。⑤ PDP生産を終了

201310 プラズマ事業からの撤退を正式発表(12月にパネル生産止める 14年3月で販売もやめる 尼崎工場は売却へ) 住宅関連強化のため トルコのヴィコ(配線器具大手)を買収 2007年にインドのアンカーを買収

2013年9月 ①ヘルスケア事業でKKRと合意 株式の8割を1500億弱で譲渡 750億円の利益(2014年3月を予定) ② 欧州での太陽電池の生産を終了 ③個人向けスマホの開発休止を正式発表(NTTドコモの重点機種から外れたことが響く) 米アップルアイフォーン 韓国サムソン電子のギャラクシーに押され劣勢だった。

再建計画 20134 再建計画の発表 事業部制の復活 役員の責任明確化など
 2013年4月に白物家電、環境ソリューション、AV機器、自動車・産業用の4カンパニー制にする(ビジネスユニットは88から56に削減)
 2015年度には全事業部門で営業利益率を5%以上に引き上げる
 苦戦する民生用リチウム電池や太陽電池で拠点を再編する
 チェコ、マレーシアのテレビ用パネル組み立て工場を清算。
 リチウム電池の国内生産拠点を6ケ所から3ケ所に減らす。
 12年ぶりに事業部制復活(88のユニットを49に削減) 各事業部門に営業利益5%の必達を指示 売上高目標は掲げない
 事業部画それぞれ拡張 事業の重複 2002年3月期の赤字を機に中村社長が中央集権化 機能別組織に再編 戦略部門への機動的投資 開発・営業の人員を集約 → 営業と開発に距離 ニーズに合わせた製品投入に遅れ 収益管理もあいまい 事業部制は1933に松下幸之助が導入 
 当面はリストラ(拠点再編 従業員削減など)による採算改善か
 企業向けビジネスの強化 財務体質の改善
 テレビ 半導体 携帯電話など赤字事業の黒字化は16年3月期(中期計画)
 自動車 住宅で 19年3月期に2兆円の売上高目標(中期計画 具体策は不明)
 大坪会長の特別顧問に退くことで大坪時代の責任明確化
 ・テレビ用パネルの工場建設 プラズマでは累計5000-6000億円の投資
 ・三洋電機買収などで 巨額赤字の原因つくる
 また役員報酬の削減で責任明確にした(社長・会長について2012年11月から4割。2013年7月からさらに1割。:その他役員については2012年11月から2割。:管理職の年棒を2014年3月期から前期比1割:組合に対しては夏の賞与の2割削減 所定労働時間の延長などを申し入れ中)。
 白物家電の国内生産増やす(家電市場で10年ぶりに白黒逆転 デジタル家電1.6兆円<白物家電2.2兆円 デジタル家電 価格値下がり大きい:半年でも半値とも 2012年秋 :白物家電 高級機種に人気 利益率高い)
 2014年3月期中
 2期連続の巨額赤字による有利子負債圧縮 資産圧縮いそぐ 大阪高槻工場敷地の半分

2013329日 中期経営計画発表(津賀一宏社長)
 2013年3月29日 中期経営計画発表(2016年3月期に営業利益で3500億円以上目指す 赤字事業の縮小 各事業部門の収益改善) 
具体策に乏しい:不採算事業(携帯電話事業 プラズマテレビ事業など)からの撤退、給与カットなど固定費削減が明示されなかったこと、大胆なリストラ策でなかったことに失望の声
 133月期 7542億円の赤字(2年連続で7500億円超の赤字)
 
20133 ヘルスケア事業(血糖値測定システムで世界シェア2割 電子カルテシステムで国内首位)の売却表明 黒字企業だが世界展開のための巨額投資 ノウハウの不足から売却を決断

 2014年3月期中
 2期連続の巨額赤字による有利子負債圧縮 資産圧縮いそぐ 大阪高槻工場敷地の半分
 2013年3月期
 不動産株式を2500億円強売却済み 株式1000億円強 保有ビル(東京汐留ビル507億円など) 有利子負債1兆1433億円 2年間で5000億円策削減する(本業の資金効率改善 買掛金支払期間は延長 非主力始業 余剰資産を売却 ヘルスケア事業の米投資ファンドへの売却)。
  2013年3月期まで2期連続で7500億円の最終赤字計上 テレビ事業(5期連続の営業赤字)などが不振
プラズマなど不採算事業からの撤退(13年末)尼崎第三工場を9月に不動産投資会社に売却、半導体工場も売却、利益が出ていても非中核事業は売却を徹底。 

20121031日 133月期 巨額赤字決算予想
 三洋電機を買収したとき(2008-2009年)には、輝いてみえたパナソニックがわずかな間に経営を悪化させた。
2012年10月31日の発表によれば、2013年3月期見通しは7650億円の赤字(4400億円の構造改革費用含む。従来の見通しは500億円の黒字)。2012年3月期の7721億円に続き、パナソニックは2期連続で大幅赤字を続ける予想となり、13年3月期は1950年5月期以来63年ぶりの無配に追い込まれた。
 この段階で明確になったのは三洋電機買収の「失敗」か。8000億円を投じた買収について、結果として5000億円の減損損失の計上となった。このような財務体質な悪化は外部資金調達コストを上昇させる。パナソニックとしては内部資金の創出に努めることになる。
 家電業界の不振の理由として、なんでも保有しようとする自前主義 横並びの集中投資が挙げられる。結果的に値崩れ 商品の寿命も短期化。という批判がある。事業モデルとして垂直モデルは部品と製品の両方で儲けることを可能にした時もあったが。

2012年度に入ってからのリストラ
・約7000人の本社人員の大幅削減(配置転換 早期退職でスリム化するとのこと
最大1000人程度を削減 としている)
・携帯電話端末の生産を海外に全面移管
 不振の携帯電話事業は縮小。2012年春に再参入したばかりの欧州市場での販売を2012年度中に打ち切るとのこと。
この面では事業を拡大する構想だったというのだが、そもそもどのような成算があったのだろう。いずれにせよこの
事業だけで最大1000億円規模の費用が発生するとのこと(資産の減損損失+人員削減などリストラ費用)

2011年度に実施されたリストラ
・グループで4万人規模の従業員を削減(3万6000人を削減 2012年3月末の従業員数は33万人)
・半導体生産の外部委託拡大
・最新鋭プラズマパネル工場の稼働停止 5生産拠点を2ケ所に集約
・民生用リチウム電池の国内生産拠点を集約 中国に5割以上移管
・三洋電機の白物家電事業を中国ハイアールに売却
・JVCケンウッド株を売却

日本の家電業界不振の背景について若林秀樹さんの指摘(日経2012年7月8日)は示唆的。市場が拡大すると自社生産だけでは間に合わない。外部の生産委託会社をうまく使う必要がある。ところが日本の企業は外部化の流れに乗り遅れたと。台数拡大とともに製品サイクルの短期化が連動する。組織にスピード感がないと対応できないが、ここでも日本企業は対応できなかったと。日本企業の時間軸にあった事業に取り組むことが必要。それは市場規模がそれほど大きくなく、製品サイクルがないもの。白物家電 鉄道 重電 産業機械をその例にあげている。日立 日産 などこれまで大きな赤字を出した企業はV字回復するケースが多かった。しかしパナソニックは2期連続大型赤字に追い込まれた。これはリストラが一期で済まないほど問題の根が深いことを示している。 

液晶事業の赤字と対策
 採算の悪いテレビ向け液晶パネルの生産を縮小、テレビ用パネルの大半は韓国メーカー(韓国LGDなど)など外部から調達する。 千葉県茂原の工場はジャパンデイスプレー2012年春に売却の方針。
 中小型はテレビ用にくらべて1インチあたり単価が4~5倍高い。高精細な映像表示、省エネ機能でなお韓国勢と比較優位。世界シェアも高い(2011年で日本勢37% 韓国勢16%)。
 今後は薄く省エネの有機ELが焦点。テレビ事業不振の理由はパネルのコストにある。
 液晶パネルをつくる姫路工場はタブレットや医療用モニター向け中小型パネルの比率(現在は半々)を高めて収益を改善する。
 尼崎工場でつくっているプラズマパネルについてはテレビ向け生産を縮小、収益の高い電子看板電子黒板などを増やす計画。(その後撤退が確定する)
 すでに2011年度にプラズマパネルの最新鋭工場(尼崎第三工場)の稼働を停止(2012年3月期の減損処理)。その後第一工場も縮小としたので
尼崎工場は第二工場に集約。これら工場の減損処理やリストラは赤字を膨らませる見込みだ。
 2012年度のプラズマテレビ販売計画は昨年の半分。売り上げを減らしても収益性改善へ。
 2012年10月末白熱電球の生産を終了、LED電球への置き換え促す
 なお東芝や三菱電機はすでに白熱電球の生産を終了している
 このような不振は、実はシャープ、ソニーなどほかの電機大手にもみられる。
 主因はテレビなどエレクトロニクス事業の不振 とその理由 超円高 国内の電力料金値上げ ウオン安の恩恵を受ける韓国勢との価格競争 技術優先のモノづくり デザイン力の軽視

資金の内生策など問題の財務面的側面
 在庫の圧縮を進める
 部品点数削減
 製品モデル数削減

棚卸資産回転日数の短縮 背景には業績悪化 CCCの短縮 

格付け低下による外部資金コスト上昇 短縮により資金負担を減らす

保有株の売却を進める
 また保有株の見直しを進めて、保有株の圧縮を2011年以降進めている(2011年3月末2億4300万株 2012年3月末1億8700万株 23%減少)。従来パナソニックは持ち合い重視型の企業の一つとして知られていた。売却で得た現金は、資産リストラや成長投資に使われる。
 おそらくはその余波だろうか。経営再建を急ぐオリンパスの資本提携相手として、オリンパスから期待されながら、パナソニックは環境・エネルギー事業(問題解決型 2012年度に1000億円強の売り上げを目指している スマートタウンを世界で展開)の強化を優先するとして、オリンパスへの出資を見送り、結果としてオリンパスはソニーと組むことになった(2012年6月)。

巨額の資金融資枠を確保(2012年10月までに 来年9月までの設定)
融資枠。三井住友銀行が2500億円 三菱東京UFJ銀行が2000億円。三井住友信託銀行が1000億円
 りそな銀行が500億円 で計6000億円(日本企業の融資枠として2012年で最大) 
 背景にある手元資金の減少
 2010年9月末1兆9704億円
 2012年6月末  5547億円
 2013年3月の1500億円の社債償還は自己資金で賄う

 2012年3月末 ネットキャッシュ(手元資金ー有利子負債)が9620億円のマイナスになるまで財務体質悪化 これをネットキャッシュに戻す

格下げ
 2012年11月2日 S&Pがパナソニックの格付けをシングルAマイナスからトリプルBに2段階引き下げた 財務内容が悪化したと判断された

外部資金には頼らない
 借入金から手元のキャッシュを引いたネット借入金が2012年9月末 1兆800億円まで増えたがこれを2013年3月末までに7700億円まで 減らし 2016年3月期には ゼロにする方針。まずは本業の稼ぎで1000億円 資産・株式の売却で2000億円 今後も毎期2000億円内部で生み出す。融資枠は利用する予定はない(担当常務の発言 日経2012年11月15日)

三洋電機買収などで2010年3月期に借金が手元流動性を上回るようになった。でそこで2013年3月期から、持ち合い株や不動産の売却による財務体質の改善につとめてきた。

買収したパナソニック電工、三洋電機の承継分を含め社債の償還を進めるが新たに借り換えをしないで社債の償還を進める。2014年3月期から3年で5000億円の社債償還が予定される。償還には運転資金圧縮や不振事業の赤字削減でねん出した手元資金を充てる2013年10月からは電子記録債権を導入。取引先の債権の現金化がしやすくなったとのこと。他方、買掛金については支払延長を求める。在庫削減、売掛債権の早期回収に努める。投資対象については、過去の大型投資の経験を活かして、投資対象を絞り込む。

Written by Hiroshi FUKUMITSU©2014 original in July 13, 2013
revised in Aug. 13, 2016

Panasonic 財務業績関連情報

Panasonic 2016年度事業方針 利益重視
テレビ事業 パナソニック ソニー 東芝(2011年11月)
パナソニックによる三洋電機買収(2008年11月7日協議開始)

Case Study Sharp シャープ

Case Study : Sony

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