土地を購入すると不動産取得税が課され、その税額は、ときには数十万円などと高額になります。
不動産を購入後は何かと物入りであり、できれば払いたくないものですが、不動産取得税がかからない土地はあるのでしょうか。
不動産取得税がかからない土地と、いったんは不動産取得税を納める必要があるものの、後に還付される状況をご紹介しましょう。
山奥の土地や田舎の荒れ地は、免税未満で不動産取得税がかからない
山奥の土地や田舎の荒れ地、傾斜が著しい土地など、立地条件が悪く、なおかつ、そのままでは建物を建てることができない土地は、免税点未満となり不動産取得税がかからない可能性があります。
不動産取得税の免税点とは、課税標準額が一定の額に満たなければ、不動産取得税がかからないという制度です。
ここで、土地の不動産取得税の計算式をご紹介します。
土地の不動産取得税の計算式は、以下のとおりです。
課税標準額×不動産取得税の税率=不動産取得税
式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において、税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が同じことがあれば、違うこともあります。
土地の不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、令和6年3月31日までは「取得した土地の固定資産税評価額の2分の1」です。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価を指します。
また、式に含まれる不動産取得税の税率は、令和6年3月31日までに土地を取得すれば3%となります。
すなわち、令和6年3月31日までに土地を購入すれば、以下のように不動産取得税を計算するというわけです。
課税標準額(取得した土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=土地の不動産取得税
そして、土地を取得し、その課税標準額が10万円未満であれば免税点未満となり、不動産取得税はかかりません。
つまり、令和6年3月31日までに土地を取得し、その固定資産税評価額が20万円に満たなければ、不動産取得税がかからないというわけです。
ここで気になるのが、固定資産税評価額が20万円未満の土地とは、どのような土地であるかという点です。
土地の固定資産税評価額は、その土地が都市部、またはその周辺に位置するのであれば、売買価格の70%程度と考えることができます。
よって、都市部などに位置する売買価格が14万円程度未満の土地が固定資産税評価額が20万円未満の土地であり、免税点未満で不動産取得税がかからない土地と考えられます。
とはいうものの、都市部などで土地が14万円程度未満で売りに出されていることは稀ですから、都市部では免税点未満により不動産取得税がかからない土地を購入するのは難しいといえるでしょう。
ところが、山奥の土地や田舎の荒れ地などになると、話が変わります。
土地の固定資産税評価額は、立地条件が極端に悪く、木が生い茂るなどしてそのままでは建物が建てられない状態であれば大きく下がります。
これを理由に、山奥や田舎であれば、免税点未満の土地など珍しくありません。
実際に、私も山奥に位置する木が生い茂る土地を購入した経験がありますが、免税点未満であり不動産取得税はかかりませんでした。
よって、不動産取得税がかからない土地の購入を希望するのであれば、山奥の土地や田舎の荒れ地などに的を絞るのが良いでしょう。
しかし、都市部、またはその周辺に位置する土地を購入しても、その土地に新築を建てるのであれば、いったんは不動産取得税を納めることとなるものの、新築の完成後に還付される可能性があります。
つづいて、都市部などで土地を購入し、不動産取得税が還付される状況をご紹介しましょう。
土地を先行して取得し、後から新築をした場合は、不動産取得税が還付される
不動産取得税には、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」という軽減措置が設けられています。
「不動産取得税の課税標準の特例」とは、一定の条件を満たす不動産を取得することにより、不動産取得税が減額される軽減措置です。
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」とは、住宅が建つ土地を、一定の条件を満たしつつ取得することにより不動産取得税が減額される軽減措置です。
この二つの軽減措置が適用されれば、土地にかかる不動産取得税をいったんは納める必要があるものの後に還付され、結果として不動産取得税がかからない可能性があります。
まずは、令和6年3月31日までに土地を購入しつつ取得し、いったん不動産取得税を納めます。
つぎに、土地を取得した日から3年以内に、その土地に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される家屋を新築し、同軽減措置の適用を受けます。
新築の一戸建ての家屋に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される主な条件は、以下のとおりです。
- 床面積が50㎡以上240㎡以下である
- 用途が住宅である
- 新築を取得後30日以内などに、税事務所に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される条件を満たすことを申告した
そして、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、その家屋が建つ土地、すなわちいったん不動産取得税を納めた土地には「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、納めた土地の不動産取得税が還付されます。
還付される額は、納めた土地の不動産取得税を上限とする、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- (取得した土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×(200㎡を上限とする新築の家屋の床面積の2倍)×3%
2番目が複雑ですが、取得した土地の固定資産税評価額が1,500万円、土地の面積が100㎡、新築した家屋の床面積が80㎡であれば以下のように計算し、36万円です。
- 1,500万円(取得した土地の固定資産税評価額)÷100㎡(取得した土地の面積)=15万円(取得した土地の1㎡あたりの固定資産税評価額)
- 15万円(取得した土地の1㎡あたりの固定資産税評価額)÷2=7万5,000円
- 80㎡(新築した家屋の床面積)×2=160㎡
- 7万5,000円×160㎡×3%=36万円
固定資産税評価額が1,500万円の土地の不動産取得税は以下のように計算しつつ22万5,000円ですから、いったん納めた不動産取得税の全額が還付され、結果として不動産取得税がかかりません。
課税標準額(固定資産税評価額である1,500万円の2分の1の750万円)×不動産取得税の税率(3%)=22万5,000円(不動産取得税)
ちなみに、私が運営するサイト「誰でもわかる不動産売買」では、新築の家屋を取得しつつ不動産取得税がかからない条件を解説するコンテンツ「不動産取得税が新築にかからない条件」を公開中です。
同コンテンツでは、今回ご紹介した「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」の詳細をご紹介しています。
新築を建てることを目標として土地を購入し、不動産取得税がかからないようにする方法をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。