地目によって固定資産税が高くなったり安くなったりすることはあるのでしょうか。
地目によって固定資産税額が高くなる、または安くなることがあるかご紹介しましょう。
地目によって固定資産税が高くなることや安くなることは、ないと考えられる
地目には、登記簿上の地目と、固定資産税上の地目があります。
登記簿上の地目とは、登記簿に記されている地目であり、その土地が登記された時点において登記官が判断した、その土地の主な用途を表します。
登記官が固定資産税を計算することはないため、登記簿上の地目が、固定資産税額に影響を与えることはありません。
とはいうものの、おおむね宅地は固定資産税が高く、雑種地や原野、山林、田や畑は固定資産税が安くなるのが通例です。
しかし、地目が雑種地であっても立地条件が良ければ、宅地並みの固定資産税が課されることがあります。
よって、やはり登記簿上の地目が、固定資産税額に影響を与えることはないと考えられるでしょう。
一方、固定資産税における地目は、市町村が調査しつつ認定した、その土地の現状であり、固定資産税の課税明細書に記されている地目です。
固定資産税における地目も、固定資産税額に影響を与えることはないと考えられます。
固定資産税における地目は、適正な時価を評価する方法を選択するために認定されます。
市町村は土地の所有者に固定資産税を課しますが、その税額は、市町村によって評価された適正な時価を基に計算されます。
市町村によって評価された適正な時価を固定資産税評価額などと呼び、適正な時価が高いと評価されれば固定資産税が高くなり、適正な時価が低いと評価されれば固定資産税が安くなります。
これを理由に、市町村が適正な時価を評価する際は、評価する方法が重要となりますが、複数の評価方法が存在します。
評価方法を選択する際に要となるのが、固定資産税における地目であり、以下のように地目によって評価方法が決定されます。
宅地は、市街地宅地評価法などを用いて適正な時価を評価します。
市街地宅地評価法とは、標準宅地と呼ばれる宅地を選定し、標準宅地の適正な時価を基に、その他の宅地の適正な時価を評価する方法です。
雑種地や原野などは、売買実例地比準方式などを用いて適正な時価を評価します。
売買実例地比準方式とは、その土地と条件が類似する土地が売買された際の価格を基に適正な時価を評価する方法です。
田や畑などの農地は、標準地比準方式を用いて適正な時価を評価します。
農地の適正な時価を評価する際の標準地比準方式とは、標準田、または標準畑と呼ぶ農地を選定し、標準田と標準畑の適正な時価を基に、その他の農地の適正な時価を評価する方法です。
このように固定資産税における地目は、市町村が適正な時価を評価する方法を選択するために存在し、地目によって税額が決まるというわけではありません。
土地の固定資産税は地目ではなく、市町村によって評価された適正な時価を基に計算され、適正な時価が高いと評価されれば税額が高くなり、適正な時価が低いと評価されれば税額が安くなります。
とはいうものの、固定資産税上における地目と、固定資産税額を結びつけることが不可能というわけではありません。
私が運営するサイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開するコンテンツ「固定資産税の地目に高い順や安い順はある?」では、固定資産税が高い地目の順番と、安い地目の順番の列挙に挑戦しています。
地目と固定資産税の関係に興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。