私道とは「個人が所有する道路」であり、多くのデメリットがあるといわれ、私道付きの不動産は購入を避けた方が無難といわれます。
しかし、市街地に位置する建売や分譲地の一部は私道付きで販売され、魅力的な物件も珍しくありません。
そこで、今回の「不動産のあいうえお」では、私道付きの不動産の3つのデメリットとその対処法をご紹介しましょう。
私道付きの不動産のデメリット1 修繕費用を負担する必要がある
私道付きの不動産の1つめのデメリットは、「私道の修繕費用を負担する必要がある」です。
道路は、大きく公道と私道に分類されます。
公道とは、国や市町村などが所有する道路であり、その修繕費用は国や市町村が負担します。
一方、私道とは、個人などが所有する道路であり、その修繕費用は私道の所有者が負担しなければなりません。
道路は年月が過ぎると共に舗装が剥がれる、陥没する、側溝が破損するなどしますが、私道の修繕費用は自らが負担する必要があります。
これが、私道付きの不動産の1つめのデメリットです。
このデメリットの対処法は「修繕費用を用意しておくこと」に尽きますが、自治体によっては補助金が支給されます。
ただし、補助金は、その私道が特定の条件を満たす場合に限り支給されるため注意してください。
満たすべき条件は市町村によって異なりますが、「一定以上の幅がある」「公道に接している」などが挙げられます。
私道付きの不動産のデメリット2 固定資産税が課される
私道付きの不動産の2つめのデメリットは、「私道にも固定資産税が課される」です。
固定資産税とは、1月1日の時点で土地や建物などを所有することにより課される税金であり、市町村が徴収する地方税です。
そして、固定資産税は、私道を所有することに対しても課されます。
このデメリットの対処法は、その私道に公共性を残しておくことです。
公共性がある私道は、多くの場合は固定資産税が安くなり、場合によっては課税されません。
私道の公共性とは、誰もが通行できる状態であることなどです。
通行禁止の立て札などが設置されていたり、自動車などの私物が置かれている私道は公共性がありません。
ちなみに、私が運営するサイト「固定資産税をパパっと解説」では、私道の固定資産税の目安を解説するコンテンツを公開中です。
私道付きの不動産の購入を予定し、私道の固定資産税がいくらになるか気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
私道付きの不動産のデメリット3 ディープな近所付き合いが求められる
私道付きの不動産の3つめのデメリットは、「状況によってはディープな近所付き合いが求められる」です。
私道には、「所有者が自分のみである私道」と「所有者が自分と他人である私道」があります。
「所有者が自分のみである私道」とは、所有権を持つ者が自分のみの私道です。
その私道を修繕する際は、自らのみで修繕をすれば事足り、一部例外を除き他人と協議をする必要はありません。
一方、「所有者が自分と他人である私道」とは、所有権を持つ者が自分と他人である私道(ときには自分と複数の他人である私道)を指します。
この私道は、市街地の私道に多く見られます。
たとえば、1本の私道と、その私道に接する4筆の土地があったとすれば、4筆の土地の所有者が、それぞれ私道の所有権を4分の1ずつ所有するといった具合です。
その状況を図解でわかりやすくご紹介すると、以下のようになります。
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上記のような「所有者が自分と他人である私道」を修繕をする際は、他の所有者と協議しつつ行わなければなりません。
その状況においては、ディープな近所付き合いが求められ、馴れ合いが苦手な方にとっては苦痛といえるでしょう。
このデメリットの対処法は、残念ながらありません。
強いていえば、頑張って普段から挨拶をしておく、近所迷惑になるような行動は常日頃から控えるなどが対処法といえます。
以上で、私道付きの不動産を所有することの3つのデメリットと、その対処法の解説の完了です。
- 私道の修繕費用を負担する必要がある (修繕費用を積み立てるなどして用意しておく、自治体の補助金を利用する)
- 私道部分に固定資産税が課される (私道に公共性を確保しておけば固定資産税は安くなり、場合によっては非課税となる)
- 他人と所有権を共有する私道を修繕する際は、ディープな近所付き合いが求められる (普段から挨拶をして、近所迷惑になるような行動を控えておく)
それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。