「ラファエロの回廊」
増築された建物を結ぶ廊下に描かれた壁画と天井画 ・・
「エルミタージュ美術館」 の中で人気の高い回廊です。
描かれているのは、聖書の物語です。
(2008年12月19日のブログ参照 )
その穏やかな色合いは、いつまでも見飽きることのない美しさです。
エカテリーナ2世がこの回廊の制作を命じたのは、
1783年頃といわれています。(完成まではおよそ10年)
「ラファエロの回廊」 は、即位から20年、すべての権力を手中にし、
すでに晩年に差し掛かった (1796年没) 彼女の心の内を
象徴しているように思えます。
世界最小の国家 = バチカン市国 ・・
カトリックの総本山 = 「サン・ピエトロ大聖堂」 に隣接し、
ローマ法王の住居であるここ 「バチカン宮殿」 に、
「ラファエロの回廊」 のモデルがあります。
16世紀前半、
絶頂期のラファエロとその弟子たちが描いた 「ラファエロの間」 ・・
4つの部屋で構成され、
やはり聖書の物語を描いたこの壮大な作品は、
「ラファエロの聖書」 と呼ばれています。
また、「バチカン宮殿」 には、
「ラファエロの回廊」 とそっくりな回廊もあります。
バチカン宮殿の話は、
人づてにエカテリーナ2世に知らせられたことでしょう。
ロシアのヨーロッパ化を目指していた彼女にとって、
バチカンは遥か夢のような存在であったに違いありません。
さらに、ロシア正教に改宗したとはいえ、
元々は神聖ローマ帝国の小領の出自であることを考えると、
ローマン カトリックには特別な思いがあったはずです。
(9月30日のブログ参照 )
エカテリーナ2世は、「ラファエロの回廊」 に強いこだわりを
持っていたと伝えられています。
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