今年、プロ野球でフリーエージェント(FA)権を行使したのは4人でした。MLB移籍を目指して海外FA権を行使した埼玉西武ライオンズの秋山翔吾選手はともかくとして、国FA権を行使したのが千葉ロッテマリーンズの鈴木大地選手、東北楽天ゴールデンイーグルスの美馬学選手、福岡ソフトバンクホークスの福田秀平選手です。
既に、獲得を目指す各球団と残留を望む球団との交渉が始まっていますが、こう言っては何ですが、相変わらずのマネーゲーム化です。
■鈴木大地選手(今季推定年俸1億円:ランクB)
千葉ロッテマリーンズ:3年5億円
読売ジャイアンツ:3年5億円
東北楽天ゴールデンイーグルス:出来高など含め4年総額10億円
■美馬学選手(今季推定年俸6500万円:ランクB)
東北楽天ゴールデンイーグルス:複数年契約
読売ジャイアンツ:3年4億円
東京ヤクルトスワローズ:3年3億円
千葉ロッテマリーンズ:3年5億円
■福田秀平選手(今季推定年俸3600万円:ランクC)
福岡ソフトバンクホークス:4年5億円
埼玉西武ライオンズ:4年4億円
中日ドラゴンズ:4年4億円
東京ヤクルトスワローズ:4年4億円
千葉ロッテマリーンズ:4年4億円
東北楽天ゴールデンイーグルス:4年4.5億円
近年まれにみる争奪戦です。
昨年は丸佳浩選手(広島東洋カープ → 読売ジャイアンツ)浅村栄斗選手(埼玉西武ライオンズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス)、西選手(オリックスバファローズ → 阪神タイガース)らの、各球団のエースや中軸バッターと比べると、大物ではないのは間違いないと思えます。
それでも、上記のとおり、東京銀座の地価の如く、価格が軒並み上昇しています。
特に高い評価を受けているのは鈴木選手。内野の全ポジションを守ることができ、強打に加えてリーダーシップも評価されています。11月5日に早速、ジャイアンツが初交渉にあたり、すでに3回の交渉を持ったとのことです。翌6日にはイーグルスが初交渉に臨み、宣言残留を容認しているマリーンズとの争奪戦となりそうです。ただ、過去8年間で一度も3割を打った経験はなく、といって長打力があるわけでもありません。今年、自己最多のホームラン15本をマークしたのも、本拠地に設置したラッキーゾーンのおかげもあると思います。
在京球団でのプレーを望む美馬選手。すでにジャイアンツ、スワローズが交渉しており、ジャイアンツに至っては、これまた5回も交渉していたとのことです(結果は断られたとのことですが)。同じく、在京球団のマリーンズも11月11日に初交渉を終えています。環境面ではどこも、在京球団のメリットを説いたそうです。ただ、過去9年間で2ケタ勝利を挙げたのが2017年の一度だけです(11勝8敗)。また、右ヒジを5回も手術しており、33歳という年齢はネックになると思います。
今年のFAで一番人気を誇るのが福田選手。金銭および人的補償を必要としない「Cランク」ということもあり、ホークスを含めて最多6球団による争奪戦となっています。すでにライオンズ、ドラゴンズ、スワローズ、マリーンズの4球団が交渉を行い、イーグルスは今後、交渉を行う予定です。ただ、レギュラーを奪った経験が一度もありません。
このように条件提示においては軒並み高いものとなっています。さすがに昨年の丸選手のような5年契約25億円超の大型契約はなさそうですが、他球団の動向を伺いながら条件面をつり上げていく可能性もあると思います。
エースや四番バッターなどがFAで争奪戦になり、結果としてマネーゲームになる状況ならまだしも、適正な年俸とは思えないようなマネーゲームを展開している現状は何とも言えません。
ホークスのような戦力が厚く、他球団であれば主力扱いというのならまだしも、そもそも、それだけの選手ならば、現在所属している球団が適正な評価をしているはずです。
こうなってきますと、選手の価値を純粋に評価しているのではなく、ただ、他球団の補強を食い止めるために獲得することが目的になっているように思えてなりません。しかも、人的補償が発生するランクの選手を獲得ともなれば、若手成長株の選手(とは限りませんが)を1人失い、1人の選手の出番を失ってしまいます。
確かに選手補強にお金がかかることは仕方がありません。でも、適正な使い道が大事だと思います。活躍した選手の年俸をもっと上げるとか、選手のトレーニング施設を充実させるとか、ファンサービスに投資するとか。
それにしても、FA選手の年俸はどこまで上がり続けていくのでしょうか。