日本女子プロ野球機構(Japan Women's Baseball League = JWBL)は11月1日にリーグに所属する選手71人中36人、指導者6人が今シーズン限りで退団・退任すると発表しました。退団選手のうち1人は引退し指導者として残るため、計41人がチームを去ることになりますが、それにしても大量の退団にリーグ存続そのものの危機だと言えるでしょう。
退団者の半数以上が今シーズン限りで戦力外となった選手がほとんどであり、さらに雇用形態が変わったことが大量の退団者が出た理由とみられています。残る選手は若手が中心となるため、来シーズンのリーグ存続に向け、世代交代を図った形になります。
退団選手の中には、女子野球ワールドカップで史上初の3大会連続MVPを獲得したピッチャーの里(さと)綾実選手や、創設当初から投打でリーグに貢献してきた小西美加選手、「美しすぎる女子野球選手」として話題となった加藤優選手など、女子プロ野球の顔的存在だった選手も名を連ねています。
(加藤優選手の公式Twitterより)
JWBLは京都府京都市に本社を置く、健康食品会社の「株式会社わかさ生活」が3億円を出資して設立。2010年に2球団で始まり、現在は育成球団も含めた4球団で活動しています。ただ、いずれの球団も、わかさ生活社が球団を運営しており、選手たちは会社と従業員契約を結んでいました。
約1ヶ月間、話し合いが続けられたらしく、その間に新しく提示された契約内容は、シーズン中は野球に専念するために固定給+出来高払いとし、オフの期間は、わかさ生活社社員として働くか、別に選手自身が働き先を見つけるか、という選択だったらしいです。関係者(でました、関係者)は、「選手たちには究極の選択をしてもらい、一人一人の意志を尊重した結果。新しい形の中で、それでもやろうという若い選手が残った。今後も女子プロ野球を継続していくための措置だ」と説明しています。
来シーズン以降のリーグの体制は決まっていないのですが、9月には入団テストを実施しており、8人が内定済みとなっており、若手選手中心の2球団で継続すると考えられています。
そもそも、JWBLは今年1月に、「今年集客数が倍にならなければ運営からの撤退(事実上の解散)も考える」と理事が発言しており、リーグそのものの存続が危ぶむ声がある中で3月に開幕を迎えていました。
そして、8月には4球団を運営するために約100億円の費用を、わかさ生活1社が負担しきれないと経営難を公表し、来シーズン以降もリーグ継続していくため、球団を運営する新規参入の企業や団体の募集を始めていました。
女子野球のトップリーグでもあり、女子野球選手の目標の一つでもあると思います。なんとか存続して行って欲しいと思います。
リーグ構成球団(2019年4月1日時点)
■京都フローラ(京都府京都市):川口知哉ヘッドコーチ
■愛知ディオーネ(愛知県一宮市):碇美穂子ヘッドコーチ
■埼玉アストライア(埼玉県さいたま市):大山唯ヘッドコーチ
■育成球団(京都府城陽市):新原千恵ヘッドコーチ