4月から新社会人となった皆さん。預金と貯金という言葉、使い分けていますか? 実は、どの金融機関に預けるかで、呼び方が異なるというのを知っていますか。
「預金」とは、銀行などに預けたお金のことをいいます。いつでも引き出せる普通預金も、1年間などの期間を決めて預ける定期預金も預金。期間にかかわらず、預けたお金だから預金なんです。銀行の他にも、信用金庫、信用組合、労働金庫に預けたお金も預金です。
「貯金」とは、ゆうちょ銀行などに預けたお金のことの呼び方です。銀行の普通預金に当たるのが通常貯金、定期預金に当たるのが定期貯金。民営化される前の郵便局時代からの呼び方が今も続いています。ゆうちょ銀行のほかにも、JAバンク(農業協同組合)やJFマリンバンク(漁業協同組合)に預けたお金も貯金と呼ばれます。
同じようなものなのに、何が違うのでしょうか。普通に「お金を貯めておく=貯金」という感覚だと思います。しかし、昔はいざというときのためにお金を貯めておく→貯金しておくという考え方が、日本人にはあまりなかったようです。そもそも江戸時代までは、農民は自給自足に近い生活で、お金そのものが、あまり使われていませんでした。悪代官が、町の商人から、おまんじゅうを持ってこさせて、私腹を肥やすくらいだったと思います。
さて、江戸時代が終わり、文明開化となった明治時代の1875年(明治8年)に郵便貯金が始まりました。これは、庶民に貯金を奨励するとともに、一人ひとりの貯蓄額はわずかながら、それらを集めて、国家の発展のために活用しようと当時の大蔵省(現;財務省)が運用を始めました。主に国の政策のために活用されてきたわけです。郵便貯金にお金を預けたのは農民が多かったといわれています。
銀行は1853年(明治6年)に国立銀行として始まり、当時100を越える銀行が生まれました。1862年(明治15年)に中央銀行として日本銀行が設立されたため、他の国立銀行は民間の銀行になりました。銀行にお金を預けていたのは主に都市部の商人が多く、資本主義の発展にともなって成長する企業も、余裕資金などを預け入れました。預けられた預金は、大手企業に融資という形で貸し出されました。
ということで、郵便局と銀行は、もともとの成り立ちと預かったお金をどう運用するかが違っていたため、呼び方も違ったようです。郵便局は個人のお金を貯えるから「貯金」、銀行は企業のお金を預かるから「貯金」という感じでしょう。
ちなみに、「預金箱」とは言わず「貯金箱」というように、個人が手元でお金を貯めるときには「貯金」といい、「預金」とは言いません。例外として「タンス預金」という言葉がありますが、これは「銀行に預ける代わりに家の中で現金を保管する」という意味からであります。
なお、信用金庫や信用組合は地域の中小企業や個人の相互扶助を目的とした金融機関、労働金庫は労働者の相互扶助を目的とした金融機関です。農協や漁協は農林漁業者の相互扶助を目的とした金融機関です。
さて、4月13日のプロ野球で、中日ドラゴンズが3連勝とし、2016年6月1日以来、1046日ぶり(約3年ぶり)の貯金生活となりました。
中日 1 1 0 4 0 0 0 4 0|10
阪神 0 1 0 0 0 1 0 0 0|2
しかも、史上26度目となるプロ野球タイ記録となるチーム1試合2本の満塁ホームランというおまけつきでした。
今日からは収支計画をキチンと立てて、健全たる預貯金生活をしていって欲しいものです。