「しかれば当流に万能一徳の一句あり。
初心忘るべからず。
この句、三ヶ条の口伝あり。
是非とも初心忘るべからず。
時々の初心忘るべからず。
老後の初心忘るべからず。
この三、よくよく口伝すべし」
(中部日本中信予選二回戦前に”この日の試合への目標”を声出し)
先の言葉は室町時代に能を大成させた世阿弥の書「花鏡」の結びに書かれている言葉です。
試合に慣れて来て、試合に勝ち進んできたことで、自分たちの足元を見失ってきた、どこかに慣れや慢心があったに違いありません。その結果が中体連での中信大会初戦での結果だったと考えます。
私たちもそうですが、いつの間にか”当たり前”のようになってしまっていました。
そういう意味では、この大事な一戦が自分たちを初心に戻すきっかけに繋がったのだと考えます。
「初心忘るべからず」
これは
「初心忘るべからずとは、何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない」
という戒めですが、世阿弥の言う「初心」とは試練を乗り越えていく考え方を意味しているそうです。
そういう意味では、時に敗戦はチームにとって重要なことです(あまりにも、大事な時でしたけど)。
どこで間違えたのか。それはしっかりと考えなければなりません。
ただ、今までの結果はポジティブな要因ではありますから。
だから、全てを変える必要はなく、今までのやり方を見直すべだということでしょうね。
失敗や苦労した結果身につけた事は、どんなときでも常に忘れてはいけません。
それは後々の成功の糧になるのです。
初心を忘れては上達していく過程を自然に身に付けることが出来ない。
先々上達することはとうてい無理というものなのですから。
まずは、ここまでやってきたこと。今いるポジションに来るまでの道のり、練習内容、気持ち、負けた時の口惜しさ、勝った時の喜び・・・
これらを思い出し、今日までを振り返る、いいえ、忘れかけていたことを、もう一度思い出すことから始めたそうです。
ただ、試合を観ていたら、すべてを思い出したとは思えませんが、試合後には思い出したことも多いのではないでしょうか。
これから先、人生の中でも、もっと辛いこと、壁に当たってしまうことがきっとあるはず。
だから、生涯、初心を忘れてはならない。