走姿顕心(そうしけんしん)
「走っている姿にはその人の心が表れる」という意味だそうです。
以前、元高校野球部の監督さんだった方から教えてもらった言葉でもあります。
先日、インターネットでこんなコラムを目にしました。
「首位射程内のオリックス 「凡事」重視で走力磨く」
内容をかいつまんで紹介しますと、今年のオリックス。
「上位チームを追走する立ち位置は例年と同様(5位)でも、首位千葉ロッテマリーンズとのゲーム差は6と射程内。「健闘」の主因には糸井嘉男選手の加入で打線の厚みが格段に増したことが挙げられますが、新任の森脇浩司監督の「凡事」を重んじる精神の浸透も見逃せない」というものです。
まずは、ただでは転ばないということ。
4月5日のライオンズ戦(4-1で勝利)で試合後に森脇監督が「坂口(一番)と川端(二番)が攻撃開始と同時にフルカウントまで粘って、(2人で相手投手に)14球投げさせた。そういう裏の力、小さい力も働いての主砲の本塁打(初回の李大浩の先制2ラン)」に繋がったことを称えていました。
坂口選手と川端選手は内野ゴロでアウトになったのですが、ボール球に手を出さない、難しい球はファウルにして好球を待つという、アウトになっても、ただでは転ばないという姿勢を見せたのです。これが、ライオンズ先発の岸選手にストレスを与え、三番・糸井選手(2ベース)、四番・李大浩選手のホームランにつながったというのが森脇監督の所見だといいます。
次に全力疾走。
4月7日(対ライオンズ戦0-10)の五回。後藤選手の打球はピッチャーゴロ。しかし、一塁へは全力疾走。
つまり、バッターの打率は3割で合格点。しかも、そうそうヒットは続きませんし、せっかく出塁したランナーを得点に結びつけるためには確かな選球や、相手のエラーの誘因にもなる全力疾走の継続が欠かせないということです。
確かに現役時代は堅実なバッティングと守備であり、引退後は長年守備走塁コーチを務めていた森脇監督ならではです。
「2アウト二塁から打者が空振り三振に倒れても、暴投に備えて全力で走るのが優秀なランナー。そこで走らないのはルール違反だよね」と言う。
バッティングは水物です。いつもヒットが続くというものではありません。ただ、打てなければチャンスがないのも事実ですが、それでも全力疾走することで相手にプレッシャーはかけられます。空中でイレギュラーを誘うことだってあるでしょうから。
それでも、一試合の中には必ずチャンスはあります。そのチャンスを活かすのがこの全力疾走です。
森脇監督にはこんな持論があるそうです。
「最低限の技術を身につけることは必要。さらには、いかなる環境でもその技術を出し切れるタフさも必要。それがなければ本当に技術を持っていることにはならない」
私の好きなスタイルです。森脇監督がオリックスで、この野球を続けている限り、オリックスというチームが好きになりそうです。