むかし、むかしのある晩、とある町で、大きな流れ星がありました。それは、とてつもない慶事を感じさせるものでした。偶然流れ星を目撃していたレレレのおじさんは、神の子の誕生を予言しましたが、それはある意味当たっていました。
「にいさん!」と呼ばれたパパそっくりの男こそ、パパのパパです。もうひとりは、パパのおじさんということ。3年間も入院してやっと生まれたという赤ちゃんは、いったいどんな子どもなのでしょう。自分の妻のことも、子どもが生まれそうなことも3年も経てば忘れてしまうものなのでしょうか。やっと自分の立場を思い出したパパのパパは、全速力で病院に駆けつけます。
パパは、生まれたばかりだというのに、すぐに歩き始めたばかりか、「天上天下 唯我独尊」とお釈迦さまのありがたい言葉を口にされました。驚きおののく病院の先生や看護師さんの姿は、まるで神を見たときのよう。この子の輝かしい未来を予感させるシーンです。
病院にやってきたパパのパパにも、にこやかに「はじめまして」と初対面のごあいさつ。パパのパパを驚かせます。生まれたばかりのパパは、人並み外れた早熟な天才だったのです。
パパの誕生から数日後の木枯らしが吹く寒い日のこと。おおきなくしゃみとともに頭の部品が口から飛び出し、コロコロと転がって川へ落ちてしまいました。頭の部品がひとつ足りなくなったパパは、この日を境に天才期はキッパリと終了し、ただのバカに生まれ変わってしまいました。
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さて、春季高校野球東京都大会二回戦で都立昭和高校が、早稲田実業高校を6-2で逆転勝ちするニュースが全国ネットでも報道されました。
一地方大会の春季大会二回戦の結果が全国ニュースになるのは、清宮幸太郎選手がいかに注目されているかが判ります。
さて、その都昭和高ですが、早稲田実高を破ったことは特に驚きではないと思います。昨年の夏は西東京大会ベスト8入りしている、近年活躍が目立つ都立校勢の中でも要注目の高校です。
早稲田実高とは過去に2006年夏と2011年夏に対戦しており、早稲田実高の和泉実監督はそれぞれ1点差で競り勝ったことを踏まえ、事前にナインに「しつこい野球をしてくる」と話すなど警戒を強めていたとのことです。
この都昭和高野球部を率いているのが森勇二監督です。その森監督が師匠と仰いでいるのが、夏の甲子園に二度出場している都立高の強豪校の都国立高の佐藤賢司監督です。お二方の縁は深く、佐藤監督が都武蔵村山高時代に森監督が定時制から異動して来ました。一年間一緒に指導しながら、佐藤監督は念願の高校野球指揮官となった森監督に自分のノウハウを伝えて都日野高(これも都立の強豪校)に異動しました。実は、佐藤監督が都武蔵村山高監督時代に森監督の弟が教え子として在籍していたそうです。その彼の結婚式に列席した際に定時制に赴任していた森監督を、異動期間近となっていた佐藤監督が後任候補として誘ったのが交流の始まりだそうです。高校野球指導では師匠という立場になる佐藤監督ですが、私生活では親しい飲み仲間でもあり、野球談議に花を咲かせたり指導の悩みを話し合っているそうです。なお、佐藤監督の野球を手本としてることもあり、森監督のチームもスタイルは似通っているそうです。
さて、森監督の組み合わせを見て、選手を前向きにプレーさせるために「バカボンのパパ作戦」を提唱していたとのことです。ホワイトボードに「人間万事、塞翁が馬」という言葉に続けて「これでいいのだ」「『~のに』を『~のだ』に変える」と記して、試合に臨ませたそうです。この意味はポジティブ思考を持ち「これでいいのだ」と思うことが大事だということです。
実際、この試合では残塁が多かった(12個)が、「これでいいのだと。残塁が出てもいいのだ」とチャンスを作れていることの方を重視したそうです。これだけチャンスを逃しているのですから、「タイムリーが出ればいいのに」とか「スクイズしておけば良かったのに」と「~できたらいいのに」とか~しとければやかったのに」とか思うのではなく、「これでいいのだ」と思いポジティブに捉えることを重視。結果論ですが八回に巡ってきた満塁のチャンスに「スクイズはしないぞ。角度をつけて外野フライを打て」とアドバイスすると、満塁ホームランが飛び出しました。
また、清宮選手に対しては徹底して外角に放らせ、狭めた三遊間で打ち取るシフトをとり、外野を深く守らせ、センター前の2ベースを打たれても「それはしょうがない」と割り切って、外角攻めと清宮シフトを貫きます。同点で迎えた七回の打席では清宮選手が初球外角のボール球に手を出しセカンドゴロに打ち取っています。
ちなみに、昨年の秋季大会でも早稲田実高は都小平高の120km/hくらいのピッチャーに抑えられ、二回戦負け。今回も115km/hくらいのピッチャーに抑えられて二回戦負け。早稲田実高にとっては二回戦、都立、120km/hがポイントかも知れません。
今の高校生がバカボンのパパを知っているかどうかですが、ちょうど実写ドラマが3月に放送されたこともあって、大体のイメージは伝えられたそうです。
「バカボンのパパ作戦」の都昭和高は8日に東海大菅生と対戦します。実力を問われるのはこの試合でしょう。
赤塚不二夫さん葬儀にてタモリさんが読まれた弔辞です。
「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と」
今、目の前で自分に起こった問題が、自分にとって良いことなのか、悪いことなのかというのは考え方次第です。
なかなか受け入れられないことがあるのが多いと思います。
でも、その出来事に対してはなるべくポジティブに考えて、次への行動を起こした方が良いのではないでしょうか。
バカ田大学秀才三羽鴉の筆頭、バカボンのパパが世に送り出した名文句。
「これでいいのだ」