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これらはすべて漢字です。「なんだ当たり前のことを」と思うかもしれませんが、これらの多くの漢字は明治以降に欧米から新しく入ってきた概念などを、日本人が苦労して漢字にあてはめて作った熟語なのです。
「漢字」という表意文字をはじめ、日本語は古くより中国語から多くの語彙を学びながら発展してきました。でも、実は中国語も日本語からたくさんの語彙を取り入れているのです。その一例が冒頭に記載した漢字熟語なのです。さらに近年になっても、中国語では表現出来ないニュアンスを持つ日本語が次々と中国でも定着しています。
「料理」という単語は、ちょっと前までは「中国語では異なる意味になるので使えません」と言われていた単語です。中国語で正しくは「菜肴」ですが、現在では「料理」も一般化しています。とくに和食を指して「日本料理」と使うことがありますし、中国の日本料理屋の看板はそのまま「料理」と書かれています。さらに「刺身」という単語も定着しています。もともとは「生鱼片」でしたが、現在の都市部なら中華レストランのメニューにも刺身が登場し、そのまま「刺身」と記載される時代です。
面白いのは、中国の正式国名である「中華人民共和国」。「人民」も「共和」は日本から逆輸入されたものです。そして政治体制の「共産主義」も日本から逆輸入されたものでなのです。
日本の漢字のルーツは中国からのもの。しかし、時が過ぎて、今度は日本から中国へ漢字が渡っていく時代。文化がこうやって判り会えていくのですから、もっと広く判り会えても良いような気がするのですが。
というわけで、中国生活です。とは言っても、現在は一時帰国中です。