さて、現実の世界。
最初に思い出されるのが、阪急ブレーブス-オリックスバファローズ-阪神タイガースで活躍した星野伸之さん。
旭川工高(北海道)から1983年のドラフト5位で阪急へ入団。その当時のストレートは130kmに届くかどうか。
しかし、2年目にはワンポイント、ロングリリーフなどでプロ初勝利。
1987年からはエースとして、11年連続2ケタ勝利。最優秀防御率のタイトルも1989年と1996年獲得しています。
体の関節が緩くて、ルーズショルダーに悩まされたそうですが、逆にその関節の柔らかさを生かしたのが星野が活躍した最大の要因。ストレートと変化球では微妙に肘の使い方に違い、それが投球フォームに現れるが、星野さんはそれが全く分からない。
そして、90km前後の超“遅球”カーブ。その後にMAX130kmに届かないストレート。
それが「160kmくらいの真っ直ぐに感じる」という目の錯覚を利用して、プロの世界で176勝を挙げています。
最近では、北海道日本ハムファイターズの多田野数人投手。MLB時代から時々投げていた超遅球を2008年6月18日の広島戦で投げています。TV画面上部からはみ出てしまうほどの山なりボール。このときに旧広島市民球場のスピードガン表示は誤作動してしまい107kmを表示。しかし、テレビの特集で独自計算した結果、時速約48kmだったといいます。更に遅かったという話もあります。
これはまさにリアル不知火。
普通、毎年身体も成長していき、さらに練習していけば球も速くなっていくものですが、最近は遅かった球がさらに磨きがかかって完全に「おちょくっているのかい?」という超々遅球となってきました。
球の速さだけを取り上げれば、進化するどころか退化。これでは失礼ですので、逆進化(?)。
欲を出さずに、このままさらに遅さを追求して行って欲しいと思います。