ある意味、ショッキングなニュースですが、名古屋市教育委員会は2018年3月5日に市立小学校におけるすべての部活動を2021年3月末をもって廃止すると発表しました。
理由は、名古屋市の公立学校の教員には超過勤務手当が支給されないことが法律で定められており、現状では時間外労働は無償で行われている形となっており、部活動などは勤務時間も含めて、教員に対する負担が大きく、業務内容を見直すという理由から、「部活動全廃」に至ったというのです。
部活動の顧問は教員が務めていますが、土曜や日曜の試合の引率や、経験がない競技を指導する場合もあり、負担が大きくなっているのも理由だそうです。
現在は市立の全261校でサッカーや野球、バスケットボール、合唱などの活動があり、外部に指導を委託しているのは13校だけだそうです。2021年度以降は教員が携わらない形で何らかの活動を続ける様子です。
学校生活の延長線上で、部活動があることは良いことだと思います。
小学生のころに好きなことに出会えるチャンス。しかも、親や周りの押し付けではなく、自分からやりたいこと、出来ることを見いだせるのですから。そして、それは子どもの人生を変えることにもなるかも知れないのです。
例えば、女子1万mで1988年にソウル・オリンピックに出場した元マラソン選手の松野明美さん。今では、すっかり面白い人になってしまいましたが。
松野さんは小学生の頃、ソフトボール、水泳、陸上と多岐にわたって活動するスポーツ部に所属していました。
小学5年生の時、スポーツ部の一員として出場した町内のマラソン大会での出来事です。「頑張って走ったら1位になった。顧問の先生と家族の笑顔が嬉しくて、“また1番を取ってみんなを喜ばせたい”と思ったのが、マラソンを始めるきっかけでした」と語っています。
その日以来、顧問の先生はいつも松野さんの走る姿を見守るようになりました。顧問の先生とやりとりする連絡ノートに「明日は部活を頑張ります」と松野さんが書くと、「期待しています」と返ってきた。その一言は今でも松野さんの脳裏に焼きついているそうです。
「部活は新たな自分に出会える場。学校の部活なら“ちょっとやってみよう”と軽い気持ちで参加できて、自分でも気づかなかった才能を発見できる可能性がある。すると自分に自信がついて毎日の生活が変わります」と松野さんは言います。
読売ジャイアンツやニューヨーク・ヤンキースで活躍し、“ゴジラ”の異名を世界にとどろかせた元プロ野球選手の松井秀喜さん。
生まれたときから身体が大きく、身体能力に恵まれた松井さんは、小学生で野球と柔道を始めました。芽が出たのは柔道でした。地元・石川の県大会では3位に入賞しています。松井さんは「野球よりも注目されていたんです。立ってよし、寝てよし。石川県では結構、強かったんですよ」と語っているほどです。
しかし、進学した中学に柔道部がなかったため、野球部に入部。通算打率6割などの大活躍で頭角を現し、そこから甲子園のスターからプロ野球のスターとなり、世界へと羽ばたきました。
まだまだ発展途上の小学生が人間として大きく成長できるのも、学校の部活動があるのも一因だと思います。
学校生活の延長にある部活動だからこそ、スポーツなどをする前に勉強や身だしなみ、生活態度をきちんとする必要があると思います。そのため、子どもらには「勉強するまでは部活動をやらせない」という一体となった指導が出来ると思います。
外部の専門家の指導に委託することも一理あると思いますが、まずは、先生の働き方改革を教育委員会は考えるべきでしょう。