警察官職務執行法(警職法)二条1項
1. 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2. その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3. 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4. 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。
つまり、職務質問とは、警察官が、犯罪を犯した、または、犯罪を犯そうとしていると「なんだか怪しいな」と判断した人に声をかけ、質問をすることです。犯罪が起こったとき、目撃証言などがあれば、犯人の服装や背格好に似た人物に声をかけたり、話を聞いたりすることもあるでしょう。また、犯罪が起こっていない場合でも、犯罪抑止の目的で声をかける場合もあると思います。こうした職務質問という行為は、警職法第二条において定められています。
しかし、職務質問を受けるかどうかは任意なのです。職務質問を受けたとしてもこれに応じる義務は法律上はありません。回答や対応を拒否する権利はあるのです。拒否して立ち去っても、逮捕される、罪に問われる、ということはないのです(警職法 二条3)。
ただし、実際には有形無形の圧力をちらつけさせながら、警察官は説得して任意の協力を求めてくるのが通常と思われます。まあ、善良な一般市民が警察官から職務質問を受けた場合、これを拒否するということは、難しいのが現実でしょう。さらに職務質問を拒否すると、ますます怪しまれてしまうと思われますし、何とかして応じるよう説得してくることは目に見えていますので、余計な時間を取られますし、警察官との間でめんどくさいやり取りを強いられるかもしれません。
別にやましいことがないのであれば、さっさと質問に応じてしまった方が簡単なのかも知れません。
さてさて、ここに、どこからどう見ても怪しくない善良な一般市民がいるのですが、昨日の未明のウォーキング中に白黒の自動車が私の側に止まり、怪しい3人組の一人から声をかけられました。
自動車には「長野県警察」と書かれており、どうやら警察官っぽい服装であり、一瞬、「警察を名乗る強盗」かと身構えたのですが、本物だったのでした。つまり、職務質問を受けてしまった(?)のでした。この、どこからどう見ても怪しくない善良な一般市民がです。
今まで、ウォーキングしていた時に何回も警察官と出会ったこともありますが、その時には職務質問なんぞ、受けたこともなかったのですが。
ところで、職務質問を受ける場合、次のような場合があるようです。
・挙動や言動、服装などから、犯罪行為を犯したか、犯そうとしていると判断可能である場合
・まだ犯人が捕まっていない事件で、犯人の背格好や服装と似ている場合
・警察官をことさら避けるようにするなど挙動が不審な場合
早い話が、「怪しいと判断される人物」だったということなのでしょう。この、どこからどう見ても怪しくない善良な一般市民なのですが。まあ、こんな時間に出歩いているのであれば、怪しいと思われても仕方がないのですが。
でも、まあ、こちらとしても怪しい相手だと思ったものですから、警察手帳の提示を求め、応じてもらいましたけど(警察手帳規則第五条:職務の執行に当たり、警察官、皇宮護衛官又は交通巡視員であることを示す必要があるときは、証票及び記章を呈示しなければならない)。
協力を求められたら素直に応じた方が賢明であり、抵抗することで余計な疑いをかけられることも考えられますし、何より余計な時間が取られるのが嫌でしたので、一応、身元確認に応じて、何事もなく解放(?)されました。
その後、20~30分ほどウォーキングを続けて、自宅近くまで来たところでパトカーの赤色灯が点灯し、けたたましいサイレン音が・・・
もちろん、どこからどう見ても怪しくない善良な一般市民に対してではありません。数100m先での出来事です。元気だったら、走って見に行っていましたが、もう、散々歩き回って疲れ切っていたので、見に行く体力が残っていませんでした。
職務質問は犯罪抑止や市民の生活・安全を守るために必要なものです。
ところで、9月30日午前4時半ごろ。長野県塩尻市宗賀の「ファミリーマート塩尻免許センター前店」で、黒い野球帽にマスク姿の男が、30代のコンビニ店主にカッターナイフをちらつかせて菓子パン1袋を奪って逃げていました。当時店内に客やほかの店員はおらず、対応した店主にもケガなどはなかったということです。
ちなみに、現場は塩尻警察署の目と鼻の先。
逃げた男は、年齢が40代くらい、身長は1m80cmくらいで、黒色のジャージにベージュ色のズボンをはいていました。
ちなみに、私は年齢が50代くらい、身長は1m75cmくらいで、しまむらの長そでTシャツに、グレーのジャージをはいていました。
警察が防犯カメラの映像などをもとに逃げた男の行方を捜したところ、約30分後に数百メートル離れた場所で体型や服装がよく似た男を見つけて身柄を確保し、その後、逮捕しています。
約30分後といえば、私が赤色灯とサイレンを聞いた時間とピッタリです。しかも、数百m離れた場所というのもピッタリです。
警察によりますと、男は開封して食べたあとがある菓子パンを持っていたということです。また、調べに対して容疑を認めているということで、動機などをさらに調べることにしているそうです。
犯人が逮捕されたことは、いいとして、私は今になってこの職務質問に対して、怒っていることがあります。
刃物(カッターナイフ)を持った強盗犯が近くにいたのです。それを、どこからどう見ても怪しくない善良な一般市民に対して、身の安全について注意喚起もせずに・・・万が一のことがあったら、どう責任を取ってくれたのか。これは、ちょっといただけない対応だったと思います。しかも、現場すぐ近くを3回もとおっていたのですから。
なお、この話を会社でしたところ、ほとんどの人が警察官の対応(職務質問したこと)に同意し、「やはり、日本の警察は優秀だ」と言っていました。ちょっと、どういうことなのでしょう。