テレビの地上波からプロ野球中継が消えかかっていますが、今度はラジオからもプロ野球中継が一つ消えそうです。
長らくプロ野球中継を牽引してきたTBSラジオが、今季限りで撤退するというものです。1951年12月25日にラジオ東京として全国で6番目、東日本初の民間放送局として開局し、後にテレビジョン放送事業に参入、1960年に社名を東京放送(現; 株式会社東京放送ホールディングス=TBSHD)、ラジオ部門はTBSラジオに改めました。TBSラジオでは、その翌年の1952年3月の読売ジャイアンツ vs. 毎日のオープン戦でプロ野球の初中継を行っています。
TBSラジオは関東地方をエリアとする放送局ですが、JRN系列のキー局でもあるため、ナイターについては「JRNナイター」の呼び名で全国ネットで放送される場合があります。以前は「エキサイトナイター」と呼ばれた時代もありました。現在は毎週火曜日~金曜日のナイターを中継しており、読売ジャイアンツ戦が約8割を占めています。
レギュラー解説者は絢爛豪華な次の方々です(2017年現在)。
杉下茂さん; 元祖フォークボール
田淵幸一さん; 天才ホームランアーチスト
有藤通世さん; ミスターロッテ
衣笠祥雄さん; 鉄人
定岡正二さん; カミソリスライダー
青島健太さん; ホット解説現場第一主義
川口和久さん; ダンディー解説奪三振王
牛島和彦さん; 帰ってきた炎のストッパー
槙原寛己さん; ミスターパーフェクト
佐々木主浩さん; 海を渡った大魔神
緒方耕一さん; マイクを持った盗塁王
元木大介さん; ミスターが命名!曲者
高橋尚成さん; 下町が生んだメジャーリーガー
TBSラジオは東京放送ホールディングスの連結子会社で、個人聴取率調査では2001年から現在まで16年連続首位を維持する日本を代表するラジオ局です。でも、最近の野球中継の聴取率低下で広告収入が激減しているらしく、球場のラジオ用ブースの使用契約料も高く、採算が厳しくなっているのが一因のようです。
TBSラジオで30年以上プロ野球中継を担当した“世界の松下”こと元TBSアナウンサーの松下賢次さんは「撤退は10月に正式発表すると聞いていますが、ラジオ中継のファンからブーイングが起きるんじゃないでしょうか。TBSラジオは日本で最初にデイリーで野球中継をした老舗です。音声だけであらゆるものを網羅するラジオの野球中継はひとつの文化。赤字だからやめるというのは悲しい。他局が追随しなければいいのですが」と語っています。
私がまだ中学・高校生のころはラジオの野球中継をよく聞いていました。長野県のAMラジオ局のSBCラジオでは、火曜日はTBSラジオ、水曜日~金曜日は「ニッポン放送」を中継していたため、遠く愛知県のCBCラジオや東海ラジオの周波数に合わせて中日ドラゴンズの中継を聞いていたものです。また、社会人になってから、会社の帰りにはカーラジオで(仕方なくSBCラジオで)ナイター中継を聞きながら帰ったものでした。
そういえば、最近はラジオでプロ野球中継を聞くことはほとんどなくなったように思えます。時代の変化を感じる寂しいニュースですね。