警察庁の調べによりますと、75歳以上の運転免許保有者はこの10年で2倍近くに増えたそうです。その一方で自動車やバイクで75歳以上の運転者が起こした交通死亡事故は2019年には401件に上り、死亡事故全体に占める割合は14.4%で過去最高だった2018年に次ぐ高さとなったとのことです。
国も対策に取り組み、2020年6月の通常国会では道路交通法の改正案が成立し、一定の違反歴のある75歳以上のドライバーに「運転技能検査」が義務付けられることになりました。ちなみに、ほかにも問題になっている「あおり運転」についても、あおり運転の定義と罰則強化がされています。特に定義の中では「こんなことでも?」と思われるようなものもありますので、みなさん、くれぐれもご注意ください。
さて、たとえば現在75歳の方が免許取得したのが18歳のときだったとします。もう、57年前のことになります。人間、誰しも57年前のままでの反射神経・判断力・健康状態のままという方は少ないでしょう。しかし、本人は「自分は大丈夫」と思いがちだと思われます。
また、特に地方では、車がなければ自分の田畑を回ることもできず、自宅から買い物に行くにしても、10〜20kmも離れていたり、公的交通機関がないため、買い物にも行けない事情もあるでしょう。
つまり、高齢ドライバーが運転せざるを得ない状況もあり、なかなか免許返納というわけにはいかないようです。そうはいっても、近年の高齢ドライバーによる事故のニュースなどを見聞きしている家族としては心配にはなるでしょう。
そもそも、事故を起こした場合、あらためていうことではありませんが、重大事故の加害者になった場合、免許の停止や取り消しといった、道路交通法に基づく行政処分だけではありません。
自動車運転過失致死傷罪などで起訴され、刑事裁判になることもあります。刑事裁判では、加害者である被告側証人として子どもや親族が呼ばれ、証言を求められることもあります。
民事裁判では、相手の被害の状況により、4千万円〜1億円、場合によってはそれ以上の巨額な賠償金の支払いが命じられることがあります。任意保険に入っていなければ、当然、金銭的負担は膨大なものになりますし、加害者本人に支払い能力がなければ、本人が亡くなった後には、相続人である家族に支払う責任が生じることになります。
事故を起こさないことが一番ではありますが、人生が悲惨なものになるのは目に見えています。そう考えますと、高齢ドライバーがいる家族は、思わぬ事故を起こす前に免許を返納してもらいたいと願うのですが、やはり事情もあってなかなか難しいようです。
特に、子どもにとっては、どう親を説得するかでしょう。
いきなり、免許返納の話を切り出しても難しいでしょうし、そこには、何より、「免許返納後のサポート」について話をすることも大切だと思います。
車を手放した後のことを考えて、徒歩や公共交通機関を使った場合のスーパーなどへの道順や費用。そして、家族の誰かが送迎をしてあげる、出費を負担してあげるなどを家族として考え、対応をキチンと話してあげることが大事でしょう。また、自治体や企業が免許返納者に対して、バスやタクシーの割引や回数券の発行といった各種の特典を用意していますので、そうした情報も必要でしょう。さらに、ネット通販の使い方なども準備してあげるといいかも知れません。
こうして返納後の対案を準備しておけば、本人の不安を解消してあげることになると思います。
というわけで、私の義母ですが、このたび免許返納することになりました。
幸い、車で10分ほどのところに住んでおりますし、何か急に必要なものがあったとしても、我が家の近くには24時間営業の大手スーパーがあるので、時間は遅くなってしまいますが当日中には届けられますし、気分転換のドライブを兼ねての週末の買い物にお付き合いするのも問題なしです。
ゆくゆくは、私だって免許返納しなければならない時期が来ます。
親だけでなく、自らも車のない生活を今から意識してこれからは過ごしたいと思います。きっと、それは家族が平穏な老後を送るための、ひとつのヒントになってくれるでしょうから。
■外出の際は、手洗い、咳エチケット等の感染対策や、「3つの密」の回避を心掛けましょう。
■新型コロナウイルス感染対応を呼び掛けている場所やお店などがある場合は、指示にしたがいましょう。
■お出かけの際は、各施設、イベントの公式ホームページで最新の情報を確認しましょう。
私のブログにお越しいただいてありがとうございます。また、明日、ここで、お会いしましょう。