中学校運動部の早朝練習、いわゆる「朝練」を原則廃止するとした指針「県中学生期のスポーツ活動指針」が2014年2月に出されて、2年目の春を迎えます。現在の新三年生においては、中学一年生時に朝練はあったものの、昨年入学した新二年生からは実質朝練のない部活動となっているはずです。そして一年が過ぎ、現状はどうなっているのか、長野県教委から県内公立中学校の取り組み状況が発表されました。
県教委が2015年8月に県内187校にアンケート調査を実施した結果です。
79.1%(148校) 「原則行わない」
20.9%(39校) 「従来通りや縮小して実施している」
2015年1~2月の調査では、約76%が「原則行わない」と回答していたので、若干増加しています。ただし、「自主活動」として従来と変わらない朝練を続けている学校もあるそうです。
記者会見で教育長が「指針は思考停止に陥っていた現場を変えるきっかけになった。いわゆる脱法的な活動をしている部活動がある学校は、校長が現場と話し合いを続けることが大事」と話しています。つまり、「原則行わない」のではなく「絶対中止」が目標なのです。言うことがぶれるお役所においては、珍しく確固たる信念を貫いています。
指針では「冬の日没が早い時期などは例外」としており、冬や大会前に朝練を実施する運動部があったり、通年で地域や保護者らが運営する自主組織による社会体育として朝練を続けるケースもあるそうです。本当に生徒が自主的に練習をしている場合もあるそうですが、現実は顧問が指導し、練習内容も従来と何ら変わらないものが多くあるそうです。
これらを朝練とはせず、原則行っていないと回答した中学校は実質あるようです。2015年末の調査では長野市立の全24校中、朝練を完全に廃止したのは3校だけで、残り21校は日没が早い冬などに限って朝練をしており、うち年間を通じて自主活動していたのは7校だったそうです。
これが実態だと思います。ただ、真面目に廃止している学校もあるでしょう。
徹底するのであれば、社会体育や自主練習を含めて絶対禁止にすればいい。それが出来ないのであれば、中途半端なことは止めて、各中学校運動部顧問の方針に任せたらいいと考えます。朝練の有無だけで優劣が付くとは思いませんが、やっているところと、やっていないところであまりにも差が出るようで公平性に欠けるでしょう。
県教委は単なる数字だけではなく、より実態を反映した調査に取り組んで、現場と対話することが必要だと考えます。